文スト 短編

中原中也　誕生日2019　２ ページ33

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聞けば、中也さんは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして、こちらを見る。

「……手前の為だろーが！手前の！」
「え？」
「Aが寂しがると思って、滅茶苦茶無理してやってんだよ！」
「私、別に寂しがってなんか……」
「嘘吐いてんじゃねぇぞ！誰だ、俺が帰って来た途端、莫迦って台詞で迎えた奴は！
しっかり拗ねてんじゃねぇか！」

図星だ。
寂しかったのも拗ねていたのも。
どうせ帰って来ないと諦めて、中也さんに向かって莫迦なんて暴言を吐きながら泣きそうになってしまうくらいに。
だって、だって、当たり前じゃない。
こんな一年に一回しかない記念日に中也さんに会えないなんて。

「ほら、Aの為にわざわざ帰ってきてやったんだ、言う事無ぇのかよ？
早くしねぇと今日終わっちまうぜ」

中也さんがソファに座ったまま、手を広げて待っている。
時計の長針は、もう11を過ぎていて、今日は本当にあと数分。
広げられている腕に飛び込む。
ぎゅーっと抱き着くと、中也さんも背中に片手を回して、もう一つの手で頭を撫でてくれた。

「中也さん、お誕生日おめでとうございます！」

大好きな人の大切な日に、おめでとうを伝えることがこんなに幸せだなんて、中也さんに会うまで知らなかった。



「じゃ、帰るか」
「明日、お休みですか？贈呈品の葡萄酒用意してあるんですけど」
「お！馬路か！？さすが、気が利くな。手土産にケェキあるぞ」
「……自分のお誕生日のケェキ、自分で買ったんですか？」
「ばっ！違ぇーよ！手土産っつってんだろ！手前の分だよ！」




平成最後の私のお話は中也さんでした〜！
誕生日も遅れてるし、平成もあと２分のギリギリ投稿〜！
令和もギリギリで生きていきます。よろしくお願いします！

いあ(平成３１年４月３０日)



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