バレンタイン【芥川龍之介】 ページ13
_____
Aさん(元ポートマフィアの探偵社。両片想い。毎年なんだかんだでチョコあげてる)
時刻は早朝。
予定があっていつもより早めに探偵社向かう道の途中。
人の気配を感じて勢いよく振り返ると、そこには本来は敵であるはずのポートマフィアの芥川。
「あ、芥川さん……。な、なにが御用ですか?」
「その手荷物の中身……」
芥川がチラリと見た紙袋を隠すようにぎゅっと胸に抱きしめる。
「これは、ダメでっ……きゃっ!」
言葉を最後まで聞かない内に、羅生門がAを塀に押し付けられる。
紙袋の中身が壊れそうな強い力でギリギリと締め付けられるが、押しつぶされないように一生懸命に抵抗する。
「それをどうする心算だ」
「探偵社のみんなに渡すんです!」
「ならば全てここで葬ってやろう」
「芥川さんの分も入ってるのにっ!」
それを聞いた芥川さんが羅生門を緩める。
ホッとしたように息を吐きながら、ズルズルと塀に沿って座り込む。紙袋の中を探りながら、真っ黒な包み紙に真っ黒なリボンの箱を取り出して差し出すと、無言で奪い取るようにして受け取る。
真っ黒なチョコの箱を眺めて、ふんっと鼻を鳴らして満足そうな芥川さんが後ろを向いて去ろうとするのを見て安心して、手に抱いていた紙袋を持つ力を緩めた瞬間、羅生門がその紙袋ごと中に入っていたチョコを全部食べちゃう。
「ひっ酷い!ダメって言ったのに!」
「羅生門は悪喰……」
「格好付けて、決め台詞言ってる場合じゃないですから!芥川さん、本当に酷い!」
泣きそうなAさんの顔を見て、口元に手を当てて、何かを誤魔化すみたいにゴホッと咳。
「羅生門もAのチョコレイトを所望していたから与えたまで……。
第一、貴様の手製のモノ等、探偵社の奴らにくれてやる必要はない」
そう言い残して、その場を去る。
「……芥川さんの莫迦」
好きな女の子のチョコは絶対欲しい芥川さん。好きな女の子が、義理でも他の男に手作りチョコをあげるのが許せない嫉妬の塊の塊の芥川さん。
だかしかし、付き合ってない。
実は、手作りなのは芥川さんのだけで、あとはスーパーで買った安物チョコ。早めに出社して、仕事早く終わらせて、定時で帰って、芥川さんにチョコ渡すのにポートマフィア付近で待ち伏せしようと思ってたAさん。
だかしかし、付き合ってない。
お互い、自分は嫌われてると思ってる両片想い。
.
31人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
えん(プロフ) - ゆんゆんさん» わぁ!ありがとうございます!陰ながらと言わず、Twitterでも話し掛けて下さいね〜! (2019年3月11日 17時) (レス) id: 45961fa903 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆん(プロフ) - わぁぁぁ…!!好きです…!!あと、陰ながらいつも文ストプラス見ております…! (2019年3月11日 3時) (レス) id: 924108a693 (このIDを非表示/違反報告)
いあ(プロフ) - らねさん» 私も中也さん好きです〜!r18の方は、中也の妄想垂れ流してるだけなので、今度ちゃんとしたの書けるようにしますね(笑) (2019年2月19日 17時) (レス) id: 45961fa903 (このIDを非表示/違反報告)
らね(プロフ) - いあさん» 中也さんがすこです( ; ; )文ストのr18漁ってたら巡り会えました!幸せです、、 (2019年2月19日 1時) (レス) id: 853782108f (このIDを非表示/違反報告)
いあ(プロフ) - らねさん» わーい!気に入って頂けたものがあって嬉しいです〜!ありがとうございます^^ちなみに、文ストのキャラだと誰がお好きですか?どの検索から見つけて頂けたのかな〜?って気になって。差し支えなければで良いので、教えていただけると嬉しいです。 (2019年2月19日 0時) (レス) id: 45961fa903 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:えん | 作成日時:2019年2月17日 18時