リップグロス2 ページ16
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咲季ちゃんは、昌磨のことがあんまり好きじゃないみたい。
「宇野のところ行くなら、そんなに可愛く化粧なんかしなきゃ良かった」って舌打ちまでしていたから、それに反して笑ってしまった。
カフェを出て、昌磨の家まで行くと、相変わらずゲームをしながら定位置のベッドの上でゴロゴロしていた。
「昌磨?お疲れさま〜。練習どうだった?」
今日は、昌磨が大学のリンクで、私は大須のリンクって別々の場所で練習していたので、何をしていたか知らない。
「あ、A、おつかれ、ちょと待って、今やばいところ」
ゲームがやばいところらしい昌磨は、私に見向きもしないで忙しそうに指を動かしている。
いつものことなので、特に気にしないで昌磨のいるベッドに座った。しばらく格闘している様子を眺める。
「あー……負けたー……」
やばいところだったのが、結局負けたらしくて布団に突っ伏した。
「どんまい」
心にもない励ましをを棒読みで伝えると、昌磨が顔を上げて隣に座り直した。どうやらゲームは休憩するらしい。
「練習は、まぁまぁだった」
ゲームに夢中になっていた時の質問をちゃんと聞いていたらしく、返事が返ってきた。
むしろ、私が聞いたのを忘れていたくらいで、一瞬なんのことが分からなくて、首を傾げてしまった。
目が合うと、昌磨が目をパチパチさせて、不思議そうに私の顔を見ていた。
「なに?」と聞けば「A、今日なんか違くない?」と。
多分、お化粧のことだと思うんだけど、まさか昌磨がそんなことに気が付くはずもなく、いつもとどこか違うってことに気が付いただけでも奇跡だ。
「あ、なんか、咲季ちゃんがお化粧してくれた」
「げ、またアイツと遊んでたの?仲良すぎじゃない?」
「だって、私、樹くんと咲季ちゃんくらいしか遊ぶ人いないもん」
昌磨も咲季ちゃんのことがあんまり好きじゃないらしく、いつも「げ……」って言うんだけど、だからって遊ぶなとか言わないし、悪口とかも言わない。
「ふーん……」
マジマジと私の顔を見ながら、グロスのついた唇を興味ありげに人差し指でペタペタと触ってくる。
昌磨が、化粧に興味を持つなんてちょっと意外だった。
ペタペタしてくるのを好きにさせていると、なんの前触れもなく、突然キスされた。
キスっていうか、なんていうか、なんか、こう……唇をペロッって舐められて、唇パクッって食べられて……え?え!?
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えん(プロフ) - いちごみるくさん» いつも読んで下さってありがとうございます。なかなか更新できず申し訳ないです。のんびりですが、また更新しますので、また読んでいただけると嬉しいです! (2019年4月2日 22時) (レス) id: 45961fa903 (このIDを非表示/違反報告)
いちごみるく - いつも見てます!いつもキュンキュンしてます!更新楽しみに、してます (2019年4月2日 9時) (レス) id: 2343d39908 (このIDを非表示/違反報告)
いあ(プロフ) - 蒼華さん» コメントありがとうございます!お返事遅くなって本当にごめんなさい(>_<)今、一つお話を書いているところなので、もう少しでこちらにもアップできると思うので、宜しければまた読んでもらえると嬉しいです! (2018年12月12日 23時) (レス) id: 3bc74a413c (このIDを非表示/違反報告)
蒼華 - とてもキュンキュンします!更新待ってます! (2018年11月7日 19時) (レス) id: e6c6cb75be (このIDを非表示/違反報告)
蒼華 - とてもキュンキュンします!更新待ってます! (2018年11月7日 19時) (レス) id: e6c6cb75be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いあ | 作成日時:2018年5月1日 22時