かれし と わたし

会いたかった３ ページ14

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「ねぇ、A」

名前を呼ばれて、ベッドに手招きされる。

座っていた勉強机の椅子から立ち上がって、一歩一歩昌磨に近づく。

昌磨の隣に座ると、ベッドが私の分だけ少し沈む。

昌磨が、もたれかかるように私の肩に頭を乗せる。

「疲れた」

「うん。お疲れさま」

「向こうで、めちゃくちゃしごかれた」

「うん。頑張ったね」

「すっごいキツかった」

「うん。でも、毎日練習終わりにメッセージくれて嬉しかったよ」

「めちゃくちゃ寝たい」

「うん。いいよ」

「ＨＰが０だから、回復アイテム使いたいんだけど」

あくびをしながら、今にも寝そうな昌磨がトロンとした目で私を見る。

まるで、ゲームの中の主人公が撃たれて体力を回復するためのアイテムを使うときみたいな言い方も昌磨らしくて。

「私でも、包帯くらいにはなれるかな？」

「むしろ、医療箱で」

肩に乗せていた頭を一度離して、隣で控え目に手を広げている昌磨。

その胸に倒れ込むようにすると、ぎゅっと抱きしめられた。

抱きしめ返すと、そのまま横に倒れる。

「新しいプログラム、早くAにも見てほしい」

「うん。楽しみにしてる」

一言二言交わしている間に、言葉はもう寝息に変わっていて、昌磨はすっかり夢の中。

風邪を引くといけないから、掛け布団を掛けてあげようと思ったのに、抱きしめられた腕が離れてくれなくて諦めた。

「本当にお疲れさま。私も、早く会いたかったよ。昌磨大好き」

久しぶりの安心できる匂いに、目を閉じた。





(作者)
回復アイテムの「包帯」と「医療箱」は、昌磨くんがプレイしてるって噂のゲームのアイテムです笑。それぞれ、回復の効果が違います。包帯は、ちょっとだけ回復して、医療箱は体力ゲージが全回復するらしいです。そう思って読んでください。


今日(5/15)は、24時を過ぎるまでに、友野くんの出てくるお話をどっちかで書きたいなって思ってるんです。せっかくなので、頑張りたい。


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