かれし と わたし

会いたかった１ ページ12

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自分の部屋で勉強をしていると、ガチャっとドアが開く音がして、部屋のドアを見ると昌磨がいた。

「ただいま」

「びっくりした……。おかえり」

昌磨が突然家に来るのはいつものことだから、いつもだったらそんなにびっくりしないんだけど、なんで今日はびっくりしたかと言うと。ついでに、なんで「おじゃまします」じゃなくて「ただいま」かと言うと。

「もう帰国してたの？」

「さっき家に着いたばっかり」

次のシーズンの新しい振付の練習のためにアメリカに行っていたはずの昌磨が日本にいたから。

手ぶらで来たのか(ポケットにゲームのためのスマホは入ってると思うけど)ラフな服装の昌磨がドサッと私のベッドに倒れ込む。

「あー……疲れた」

疲れたと言いながらも、ちゃっかりゲームを始めようとポケットからスマホを取り出している。

時差ボケもあるのか、大きなあくびをして眠そうだけど。

「お疲れさま。疲れてるなら、家でゆっくり休んでればよかったのに。わざわざ私の家でゲームなんかしてないで、帰ったら？」

「んー……」

この後、しばらくは、アイスショーとか、他にも色んな仕事の予定が入っていたはず。

メダリストになってから、色んな仕事が増えた。

もちろん、練習だって毎日あるし。

休める時には、ちゃんとゆっくり休んで欲しいのに。

相変わらず、ゲームばっかりだし。

帰ってきたなら、家にいればいいのに何故かこんなとことにいるし。

家に帰ればって言ってるのに乗り気じゃないし……。

「と言うかさ……」

「うん？」

何が“と言うか”なのかよく分からなかったけど、何か言いたそうだったから、とりあえず返事をしておいた。

「空港まで迎えに来てくれてると思ってた……」

「ん？誰が？」

「Aが。
空港まで迎えに来てくれてるかと思ってたけど、お母さんしかいないし」

わざわざ、何時着の飛行機かまで連絡したのにさ、とかブツブツ言っている昌磨の耳が赤い。

「だ、だって、今まで空港に迎えなんて行ったことないじゃん」

赤くなって、視線を合わせない昌磨にこっちまでドキドキしてしまう。

「今まではなくても、今回はあっても良かったじゃん」





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