ローリングコースター４

エピローグ green ページ50

緑side


会えた瞬間、
離れてた時間なんて、なかったかのような錯覚に陥った。


淳太社長から、
大毅が夢叶えたって聞いて。

ほんまは、すぐにでも飛んできたかったけど・・・


勇気なかった。


俺のことなんか、忘れてるに決まってる。

今の大毅の幸せを壊したくなかった。


覚悟が決まったんは、錦戸くんのおかげ。


「今のともは、胸張って、あいつに会えるやろ。
飛び込んで来。
振られたら、こんなええ男が待ってるやん」


冗談めかして言うてくれて。

意気地無しの俺の背中、押してくれてん。


「とも・・・」


俺を見た、最初だけ。


大毅は少し強張った顔してたけど。


すぐに、いつものくしゃっとした笑顔になった。


俺の小指の指輪に気付いた？


「とも。ようやく、俺に会いたなってんな」


３年ぶりやのに、そんな風に茶化して。


大毅の言う通り、俺ら、別れてないん？

離れてただけ？


信じてええの？


「・・・あほ。
ずっと会いたかった。
ずっとずっと。
けど、来る勇気なかってん・・・」


泣いてまいそうで、唇を噛んで、俯く。


大毅は俺のこと、恨んでるやろ？

もう、好きやないよな？


大毅がゆっくりと俺の目の前まで歩いて来て。


「ごめん。
もうちょいはよ迎え行きたかってんけどな。
夢叶えるのに、思いのほか、手間取ってもうてん」


俺の顔、覗き込んで言う。

優しいまなざしに、もっと泣きたくなった時。


ぎゅっと抱きしめられた。


「やっと、本物のともに会えた。
もう離さへんから」


耳元に聞こえるのは、いつかと同じ、
甘ったるい、キャラメルみたいな声。


大毅の温度も匂いも、あの頃のまんま。


「うん。離れてんのは、もう終わりがええ」


大毅の掌が、俺の頬を包み込む。

顔が傾いて・・・


甘い空気に飲み込まれて、自然と唇を重ねた。


途端に、聞こえた、悲鳴とヤジ。


・・・子供たちおったんやった。


恥ずかし過ぎる。


「しげちゃん！良かったな！
一生忘れられへん失恋した言うて、
泣いとったもんな！」


ませた男の子に揶揄われて。


「うっさい。
事情があって、
ちょっとばかし離れとっただけじゃ」


子供相手に子供よりむきになってる大毅が、可愛い。



これからも、上がったり下がったり、


そんな人生を。


一緒に生きていくのは、大毅だけがええ。


以心伝心。

俺の気持ち、伝わったんかな。


「とも。結婚しような」


大毅が微笑んだ・・・









おまけ、終わり。

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