ローリングコースター４

エピローグ red ページ49

赤side


別れたわけちゃうで。

離れてるだけ。


強がるんも、最近じゃ、厳しい。


電話通じひんなって、
連絡もないまま、３年ていう時間だけが流れた。


ともの活躍は目覚ましいねん。


いつだって、ともを見てるけど、

ともが、俳優として成功する度に、

どんどん遠くにいってまうようで。


誇らしさと同時に寂しさ感じてる。


俺の事なんか忘れたよな。


すっかり過去の男やろ？


ともとの恋は、
俺にとっては、まだ、昨日の事みたいに鮮やかで。

色褪せへん。


雨の季節は、最後に会ったあの日を思い出して、
似合わへんセンチメンタルなったりな。


「しげちゃん！隠れんぼしよ！」


「だーめー。ブロックするの！」


「違うの！おままごと！」


子供たちが右から左から腕を引っ張ってくる。

なんなら、後ろから飛び乗っかってくる子まで。


「順番や、順番！
じゃんけんし！
ほんで、しげちゃんちゃうやろ！
園長先生と呼びなさい」


はあーいって声を揃えて答えた後、
必死でじゃんけん始める子供たち。


可愛ええなあって、目を細めてまう。


大学で児童心理学学んで、

県庁でも、
児童福祉課で働いてた時もあってんけど、


観光課に転籍になって、
日常に追われるうちに、忘れてた夢。


親が育てられへんなった子や、
親を亡くした子たちの居場所を作りたい。

自分なりの理想の園を建てたいて。


色んな人の支えがあって、

今年の春やっと、


この、


『まほろば園』


を開園することが出来た。


「雨止んだ！」


「ほんまや！しげちゃん！砂遊びしよ！」


隠れんぼに夢中になってた子供たちが、
窓の外の光に気付いて、

カーテンの裏や物陰から、
ぞろぞろ出て来て、
外に駆け出してくんを、追っかけてく。


「まだ砂べちょべちょやって。もお」


玄関を抜けて、園庭へと。


眩しい夕陽に、思わず目を細める。


そこに立ってたんは、とも。


その人。


一切の音が消えて、時が止まる。


「大毅」


俺の名前を読んで、はにかんだ、ともの笑顔は。

あの日と何一つ、変わってなかった。

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