ローリングコースター４

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緑side


新幹線降りたら、
そこに、錦戸くんが待っててくれた。


下がった目をもっと下げてさ、
錦戸くんの方が、泣きそうな顔してはる。


俺の頭、くしゃっと撫でて。


「とも、頑張ったな。偉かった」


そう褒めてくれた。


ほんまは、
大毅に会うまでは、

別れを言葉にする自信、なかった。


淳太社長に連絡もろてさ、

大毅、
自分の部屋に帰られへんぐらい、
俺のファンの子に嫌がらせ受けてる、聞いて。


もう限界やて、決めてきたはずやのに。


ただ会いたくて、

気持ち、ぐらぐらして、


顔見た途端、
抱きついてしまいそうやった。


けど、あの子の、陽菜ちゃんの言う通りやねん。


俺と付き合うてる限り、
大毅は平穏な暮らしから遠のいてしまう。


一番大事な人を、

俺の夢に巻き込んで、

傷付けることなんて出来へん。


大毅はお日様の下できらきら笑ってるのが、
誰より似合う人やのに。


こそこそ隠れたり逃げるような生き方。

させられるわけない。


まだ泣いたらあかん。

一人になるまで。




そやけど。

錦戸くんの車の助手席。

車が走り出して、しばらくして、
大毅と見た風景が目に飛び込んで来た途端に。


堪えてた涙が、一気に溢れ出した。


錦戸くんの気持ち知ってて、
甘えるなんて卑怯や。


それやのに、寂しくて一人でおられへん。

自分が嫌いや。


大毅のあんな悲しい顔、
初めて見たな。


純粋な人を、傷付けてしもた。


後戻り出来へん。


俺を守ってくれてた、

底抜けの笑顔は、もうそばにない。


おかしいよな、大毅と出会う前は、

一人で平気やった筈やのに。


「とも、いっぱい泣き。
俺、ずっと一緒におるから」


同じ役者の錦戸くんなら、

お互いの事情も分かり合えるし、

上手くやっていけるんかな。


学ぶことも、いっぱいある。


けど、恋じゃない。


「すいません、俺・・・」


大毅しか、愛されへん。


なんでやねん。


女の子やて勘違いされて、
追いかけ回されて。


男同士であり得へんて、半信半疑で。


きゅんときた自分の心に正直に、付き合うてみた。


そんだけや。


やのにさ、やのに。


いつの間に、こんな、深なってしもてん。

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