ローリングコースター４

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喜んでくれるとええな。


今日は、特例で、
俺がチョコ食べさせてやってもええねんけどな。


妄想に忙しくて、
意識、飛びかけてもうてた。


「ねえ、神山くんも思わへん？
結婚は早い方がええって。
子供にとっても若いパパママのが嬉しいやろうし」


結婚が決まってるっていう、
カップルの彼女の方の言葉で、

一気に現実に引き戻された。


「そ、うや、やな。
俺は今、仕事で必死やから・・・」


適当に言葉濁す。


大毅はどう思ってんのかな。


当たり前に、
子供欲しいとか、思ってるよな。


俺と付き合うてても、
大毅の欲しい未来、あげられへん。


「神山くん、しげの彼女、知ってる？」


「え・・・」


「俺は嘘やと思てるねん。
しげの彼女って、
俺は陽菜しか知らん」


陽菜って、大毅の隣におる、この子よな？

元カノやってんや・・・


動揺せんようにせな。


「中学ん時の話やろ。
あんなもん、付き合うてるうちに入らん」


大毅の言葉に、陽菜ちゃんは傷付いた顔した。


「しげ、もう陽菜にしとけって。
気心知れてる方が楽でええで」


「勝手に決めんなや」


この会は、二人がおせっかいして、
陽菜ちゃんと大毅をくっつけるために催されたもん。


分かってへんのは、大毅だけやな。


電話が鳴って、席を外す。

相手は錦戸くんやった。


「とも？今どこ？
撮影所、急いで出てったやろ？」


「えっと、神戸です」


「神戸か、そっか。
今日、バレンタインやもんな。
デート中やった？」


憧れてた人に、
こんな悲しい声、出されると、胸が痛い。


「成り行きで、
複数人で食事することなって・・・」


「そうなんや。
東京で待ってるから。
気をつけて帰って来？」


「はい、ありがとうございます」


「とも、どうした？なんかあったんか？」


「え、」


「とも、声が寂しそうやから」


「そんなこと、ないです」


「ならええねんけど。
寂しいなら、俺に言い？
とものことは、全部分かってあげたいから」


掠れた甘い声で、囁かれたりしたら。


弱ってたら、ぐらっと来てまうよな。


「大丈夫です。
すいません、もう切ります」


「うん。じゃあ、明日の撮影で。
おやすみ」

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