兄妹から離れて行くお話 (ページ5)

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兄妹から離れて行くお話④ ページ5

その言葉を残して

私には兄と妹がいた私達は父から虐待を受けていた
それを助けてくれたのは家族だった
母さんに兄さん、それに妹の陽夏皆が助け合っていた。そうしてここまで生き延びた
そうするしか、私達にはなかった
私は、父さんに似ていた。目の色、髪色全て父さんに似ていた。それに比べて兄さんと陽夏は母さんに似ていた
何時も助けてくれる母さんに
私は何時も苦しめる父さんに
似ていた。それだけで苦痛だった
それが兄さんが私を嫌う原因だと私は思っていた。
いや、今でもそう思っている

その日はたまたまだった
3人で公園で遊んでいた。当然家には帰りたくなかったわけで、6時位まで遊んでいた
時期は丁度冬で6時でも充分に暗かったそろそろ帰ろう。そう話していて私は
『えぇ、やだ！もうちょっと遊ぼ～！』
そう言った
中々遊べないんだもんなんて呑気に思っていた。兄さんは、
「仕方ないな～、あと1回だけだからな！笑」
なんて優しかった。そして公園からの帰り道、陽夏が綺麗な花を見つけた
陽夏「あ！みてみて～！きれいなおはなみつけた～！」
兄「ほんとだ！」
『すごい！』
陽夏「おかあさんにあげよ～！」
『わたしもあげたい！』
『まだないかな？』
兄「ほら、また今度探しに来よう」
兄「早く帰るぞ～！」
『うん！』
陽夏「はーい！」

3人「ただいま～」
そう声を揃えてドアを開けた。すると違和感に気づいた
兄「あれ？」
『ママ？』
バタバタバタ兄さんが靴も脱がず走ってリビングの方に行った
『お兄ちゃん！』
バタバタバタ私と陽夏も続けて走った

走った先には血まみれの父と
首を吊っている母がいた
私と陽夏は泣いた。これでもかってくらいに泣きじゃくった。兄さんは、母さんの首に掛かっていた縄を解いて警察へ連絡を入れていた

思い出した。虐待が辛くなかったのは兄さんが居てくれたからだ
なのに私は兄さんの事を嫌って、

本当に最低なのは自分じゃないか
私達は何時も一緒にいた。食事は毎日共にしていた。兄さんが、兄さんが私をここまで育ててくれたんだ。学校へ通えてたのも自分の部屋を持てたのご飯をお腹いっぱい食べれたのも
全部、兄さんが必死になって働いてくれたから
なのに、兄さんに嫌われているなんて
なんて身勝手なのだろう。生きている事を当たり前として
今まで、明日生きられるか分からない状況だったのに
誰よりも、生きてる難しさを理解していたのに
ごめん兄さん
ごめん