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フラフラと大学を歩く
「Aちゃん、おはよう」
「うん…」
全然笑えない
スマホを握ってアテもなく歩くだけ
いつもならシャンと胸を張って
堂々と背筋を伸ばして歩いてるのに
カフェテリアに入って隅っこの席で机に突っ伏した
彼女…だってさ
全然お似合いじゃない
全然釣り合ってないじゃん
そんなに可愛くないくせに
なんで佑亮君と付き合えるの?
「ぅうッ」
涙は出ないけど、ギュッと心臓が掴まれたみたいな張り裂けそうな思い
佑亮君にそれでも会いたい
こんなことしてたら髪の毛がクシャクシャになっちゃう
でも、今は仕方ない
「何してんの」
頭上であたしの聞きたかった声がして
バッと起き上がった
「ゆ、佑亮君」
「朝から何してんの」
「う、ううん。何でもない」
「ふーん…前いい?」
「う、うん!」
前の席に腰掛ける佑亮君
あたしはドギマギしながら視線をゆっくり佑亮君に向けた
「佑亮君はどうして…ここに来たの?」
「課題終わってなくて、ここでやろうかと思って」
そう言いながら既に机には課題を広げて
カチカチとシャーペンの芯を出していた
「そっちは?何してんの?」
目だけをあたしに向けて、佑亮君が聞いた
あたしは佑亮君彼女いるの?
たみちゃんが彼女なの?って聞きたかったけど
どうしても口が言いたがらなくて
「ね、眠くて」
ちょっと笑った
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作者名:ろく。 | 作成日時:2017年8月17日 18時