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「さ、早く帰って」
「…う」
「約束だろ?それに今日はダメだから。来るなら他の日にして」
佑亮君の言葉に心臓が跳ね上がった
今日がダメなだけで、これからも来てもいいんだ
あたしは自然と顔が綻んでいた
こんな気持ちは初めてで、ホッとするようなキューッと締め付けられるような切ない気持ち
「…じゃ、またね!」
そう言って早歩きで佑亮君から離れてじわじわとこみ上げるやり場のない愛おしさ
まるで自分に酔ったような気持ちに任せて佑亮君の方を振り返る
佑亮君の目の前に女の子が座っていた
自然と足が止まって、ジッと見入った
本当は見入ったわけじゃなくて目が離せなくなっただけ
気になるなら佑亮君の元に戻ればいいんだけど、そんな気にならなかった
何でもあたしは自分の思うままに動いてきたけど、できなかった
あたしは思いに反してその場から離れた
尻尾をまいて逃げるわけじゃない、ショックで打ちひしがれたわけでもない
広い大学構内を声を掛けられながら、それを避けながら草川先輩の元へ走った
連絡先知らないし、草川先輩がどこにいるかも見当がつなかない
もしかしたら帰ってるかもしれない
草川先輩なら、佑亮君のことたくさん知ってるだろうし
「…草川先輩!」
中庭で友達と話してる先輩を見つけた
「え?Aちゃん?」
先輩と先輩の友達があたしに視線を向けた
注がれる視線は慣れたもので先輩のお友達に笑顔で小さく会釈して先輩をジッと見た
「あー…悪い。コイツと話してきていい?」
先輩があたしの肩をグイッと自分に寄せた
あたしは黙って先輩の腕に収まった
「あー、俺らお邪魔だな」
友達は何か違うように解釈されてしまったようだけど否定もしないでペコリと頭を下げた
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作者名:ろく。 | 作成日時:2017年8月17日 18時