六人目の住人、拾いました。 (ページ1)

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～雅紀side～

「ふぃーーーっ。」

空を見上げれば浮かぶ三日月。
すっかり秋の空気に包まれる10月下旬。

俺はいつも通り、通い慣れた駅から歩き慣れた道へと歩みを進める。

まっすぐ、右に曲がる、またまっすぐ、今度は左。
公園が見えてきたらその中を突っ切って…。

ガサッ。

「うわっ？！」

不意に公園の茂みが揺れ、僕は情けない悲鳴を上げてしまった。
いくら都会といえど、流石にノラ猫などは当たり前に居る…けど……。

いつもは気にせず通り過ぎるはずのノラ猫の気配が今日はいつにもなく気になり、ぼくは恐る恐る茂みに近づいた。
そーっとそーっと、物音を立てないように…。

「よしっ。って………へ？」
『……？！』

そーっと覗き込んだその場所に居たのは綺麗な毛並みのノラ猫…ではなく、人間の女の子。

見た目は…大体5歳くらい。
髪はぼさぼさで中途半端な長さ、服は所々破けてボロボロ。触れると折れてしまうのではないかと心配になるほど、痩せ細り傷だらけの身体。
それは、お世辞にも綺麗とは言えない見た目をした少女だった。

「ど、どうしたの？！お母さんとかお父さんはどこ？」
『………？』

ツンと鼻をつく、あまり良いとは言い難い、嫌な臭い。
これが大人なら放っておくだろう。しかし、相手は子供。それも、とても小さな女の子。

「おいで？」
『…………。』

少女は声を発さないものの、僕が歩き出すと後ろからよろよろとついてきた。

「僕の家、いろんな人が住んでるんだ。きっとみんな仲良くしてくれるはずだよ！」

いつもより、時間のかかった帰宅。
ポケットから鍵を出し、いつもの家に入る。

「ただいまー！」
「おかえり…って、未成年者誘拐ですか相葉さん。」
「違う違う！この子は…」

遠目から少女の事をじっと見ているニノ。

「まずはお風呂に入れてください。もちろん、相葉さんが、責任を持って。」
「うっ……。ほら、そしたらお風呂行こっか！」

ニノが段ボールで風呂への道を作る。その上をよろけながらも器用に歩く少女。

そのまま風呂場に入り、臭いを吸い込んだ服ごとシャワーで流す。
泥や砂にまみれた水が排水口に流れ込んでいく。

次に、タオルに包みながら体を洗う。傷だらけで沢山の痣がある体は、見ているだけで痛々しかった。

「痛くない？」
『あ…った…かい……あめ……？』
「雨？」

多分、シャワーのことだろうな…。

「大丈夫、怖くないよ。」

僕は少女を優しく撫でた。