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「カズ。」
「っ！」
絡みついてくる手を必死に振りほどこうともがいていると、
紙袋を片手に抱えた翔さんが一瞬、睨み据えて
拘束の手から解放された僕は再び地面に腰をつけた。
立ち上がろうとせずに歩道の真ん中で座り込む僕に翔さんは顔をしかめる。
「あら、残念ね。放し飼いはお行儀が悪いわよ？」
翔さんに何かを呟いた女性は、
カチャリと鎖を鳴らして周りの人ごみを割った。
「カズ、どうした？」
「しょう、さんっ；！」
地面についていたせいで、伸ばした手のひらからパラパラと砂が落ちる。
「何かされたか？」
首を横にふりながら、引っ込めようとした手は強く掴まれて
僕を立たせようと上に引き上げる。
「ぁ…あし、が、…っ；」
…言えない。動かないなんて…
『歩けないのか…』
出逢った頃、僕の左足が悪いことを知ったときの翔さんの顔が浮かぶ。
「足？痛むのか？立てねぇ？」
こんな、役立たず…
「カズ？」
「っ、しょうさん；；しょうさ…；；」
「そんな痛いのか；？泣くなって。ほら、帰ってサトシくんに診て貰おう。」
滲んで、歪んで、見えにくいけど
目の前には、しゃがんだ翔さんの背中。
「カズ？手は痛くねぇんだろ？ちゃんと掴まってろよ？」
動かない僕を、翔さんは無理矢理背中に乗せて歩きだした。
スレイブを背負って歩くマスターなんて、聞いたことがない…。
涙が全然止まってくれなくて、
翔さんが持っている小さな紙袋が
ほかほかあたたかいのも
メロンのような網目模様のパンの絵が描かれているのにも
まるで気付けなかった。
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のん(プロフ) - 読み返しにきました。ああ最高。結局冷たくすることが出来ない翔君に、病弱な和くんに…ｱﾒﾉｼﾘｰｽﾞも大好物なんですがこっちもたまりません。。鎖をくださいと言った和くんの言葉に心臓がぎゅんとなりました。切ない、でも温かい…最高です……。 (2017年6月5日 11時) (
レス) id: 5bf65f0369 (このIDを非表示/違反報告)
碧月(プロフ) - 雪架さん» 雪架さん、お返事が遅くなりすみません＞＜。ツクの通知サボりです〜(T-T)久しぶりにこのお話の短編を書こうとのぞいてみたら、雪架さんから嬉しいコメントが (*ﾉｪﾉ) Small giftsの方で書いていますのでもしよかったら、またこのふたりに会いに来てください（*´`*) (2014年6月18日 16時) (レス) id: 9a8acee3a8 (このIDを非表示/違反報告)
雪架(プロフ) - また来てください、のお言葉に甘え、ふらふらお邪魔します。この翔くんと和くんの関係、とっても好みです！冷たくて、優しくて、温かい翔くん……必死の和くん。やっぱり碧月さんの作品、大好きだなぁと改めて！幸せになれてよかったね、和くん、って、ほっこり、です。 (2014年4月29日 16時) (レス) id: 452455588e (このIDを非表示/違反報告)
碧月(プロフ) - 明日未さん» わー。おはずかしい (*ﾉｪﾉ) かずくんを切ない位置においてしまう作者ですが、最後はハッピーほっこりエンドを目指しています＾＾ダーク色のお話でしたが気に入ってくださり嬉しいです＾＾ありがとうございます。 (2013年12月11日 23時) (レス) id: 934581676a (このIDを非表示/違反報告)
明日未(プロフ) - Predawn、見つけたときから一目惚れしてしまい何度も何度も読み返すくらい大好きです。和くんのなんとも言えないような切なさにいつも泣いてしまいますが、読み終わったあとどこかほっこりした気持ちになるような。ずっと応援しています、これからも頑張ってください！ (2013年12月9日 8時) (レス) id: 7e687da8da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：碧月
作成日時：2013年7月21日 23時
