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「和くん悪かったね、採血しちゃおう。こっちおいで。」
「かずくん、？」
智さんに抱かれたままの翔ちゃんが僕の服を掴む。
「ちょっと待っててね。」
「翔、和くんすぐ帰ってくるから、おてて放して？」
智さんに促され僕から離れた翔ちゃんの手が今度は院長先生の服を掴む。
「せんせ、かずくんに痛くしちゃダメだよ？」
「あらら；翔くんにプレッシャーかけられちゃったな；」
「ふふ、じゃあ智にぃも和くんについてってくるね。翔はあやちゃんと待ってられる？」
「ぅん。」
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翔ちゃんにプレッシャーをかけられたせいか、あやちゃんに散々拒まれたせいか、採血は先生の方が緊張していた。
「あー、よかった。一発で入って；やっぱ小松さんスゴイな。。」
「ふふ、今日はもう帰っちゃいましたもんね＾＾」
「今日はすみませんでした；」
「いいんだよ。こっちこそ助かった(笑)
はい。和くんもおしまい＾＾
おりこうさんでした!!」
「あはは、院長、言い方が切実(笑)」
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採血を終えて待合室に戻ると、翔ちゃんと絵本を読んでるあやちゃんはすっかり機嫌も治っていた。
「あやー、頑張ったな。次はもうちょっと大人しくしてな＾＾；」
「ほら、パパにありがとうは？」
「ぁりがと…」
嫌いだと叫んでも、やっぱりパパのことが大好きで、
力いっぱい甘えてもママが許してくれることを知っているあやちゃんと、
先生夫婦のあやちゃんを見る優しい目に、
あぁ。これがそうか。と、
血の繋がった家族の正しい姿を見た様な気がした。
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「かぁず、何ぼーっとしてんの＾＾？」
振りかえると、僕を見る智さんの目が、院長先生とかぶったような気がして、思わず目を逸らしてしまった。
「今日エビフライなんでしょ＾＾？俺ももう上がるから、一緒に帰ろう。」
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その夜、みんなで囲んだ食卓は賑やかで、
幸せだと。思わずにはいられなかった。
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作者名：碧月
作成日時：2012年11月26日 20時
