この人本当は黒いんです。（緑）

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丸山｢もう1軒行こかおおくらぁ〜｣



大倉｢行かへんて、(笑)行かれへんやろ、フラフラやのに｣



｢べろべろ…(笑)｣



大倉｢こんなべろべろなるまで飲まんのやけどなー普段は…まあAが正気やからえかったけど？｣









嫌味のようにそう言って少しかかった前髪の間から、ちらっと私を見た。









｢いや、まぁ…はい……｣








おかげで迷惑かけてる分、


何も言い返せない…(汗)








大倉さんは丸山さんを支えながらも自分の前髪をかきあげてキャップをかぶり、遠くから来るタクシーを止めた。







大倉｢ん、先帰り｣



｢いや、丸山さんが…｣



大倉｢また変な男に絡まれて救出する方が大変やねん、はよ｣



｢え、な、なんですかそれ初耳…｣



大倉｢運転手待ってるやろ｣(ｸﾞｲｯ)



｢おわ、っ｣(ﾄﾞｻｯ)



大倉｢ん、これ｣









そう言って雑に5000円札を渡された。








｢いや、｣



大倉｢ちゃんと住所言いや｣



｢ちょま、…っ｣








ﾊﾞﾀﾝｯ








運転手｢どこまでですかいね〜｣



｢あ、すいませんじゃあ……｣









住所を伝えながらその横をのそのそ歩く丸山さんと大倉さんの背中を見る。




そのままゆっくり動き出し、すぐに2人を追い抜いて暗闇の中、車のライトと立ち並ぶお店の明かりに姿がかき消されて行った。





あ、


お金…









｢……お礼言えなかった……、｣



運転手｢…良い方ですねぇ｣



｢そう…なんですかね……｣



運転手｢そうですよ、きっと｣









ふんわりしたおじさんが優しい口調でそう言う。





冷たくて素っ気なくて嫌味で嫌な感じな大倉さんだけど、



ほんとは、



本当は、…良い人なんじゃ…、？








.








運転手｢…よいしょっ、着きましたぁ〜｣



｢ありがとうございます、…はい｣



運転手｢はいありがとうございました。……またお礼、できる機会があるといいですねぇ｣



｢…はいっ｣








不思議と元気づけられて、もう一度お礼を言って降りた。








.

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