治療 ページ20
お茶子
「デクくん！！
……あかん……
……意識があらへん」
その場に座り膝枕をしてデクの容態を
みる、お茶子。
A
「お茶子ちゃん！！
デクくんは！？」
駆け寄るAに潤んだ瞳を向ける。
お茶子
「Aちゃん……デクくん……
デクくんの持っていたクリムゾン中和剤が
あらへんねん……使いきっとる……
あたしのを飲ませたけど……
意識が戻らへん……」
デクの側に膝を着くA。
右手をデクの口にあてる……意識はないが
浅い呼吸がある。
A
「……吐血したみたいだけど、今は止まってる
……お茶子ちゃんのあげた中和剤が効いてる…
不足しているのは……キレイな血液……体力……
なら……血液は無理……危険だから……
せめて体力を……」
眼を瞑り、個性式……術式を脳内で組む……
A
「……ヒール……」
口元にあてたAの右手から
治療と体力回復のエネルギーを送る。
意識をとばしたデクの表情が
徐々に柔らかくなっていく。
A
「お茶子ちゃん……デクくんとともに
シャトルに送るよ？
シャトル内ならクリムゾンが空気中に
含まれていないはず……ここにいるのは危険」
お茶子
「Aちゃん……了解……送ってや？」
A
「あと……これを持っていって……」
Aがお茶子に差し出したのは……
お茶子
「中和剤？……！？減ってない？
もしかして……１回も使っておらへんの？」
A
「うん。試しに摂らないでいたけど……
私は平気みたい……きっと……
クリエト族の血が流れているから……」
Aはお茶子に持っていた中和剤を
全て預ける。
A
「クリムゾン中毒の症状が、
また起きるかも……だから念のために」
お茶子
「ありがとな……じゃあ悪いけど……
送ってくれへん？」
A
「うん……行くよ……ワープ……！！」
デクを抱きしめたお茶子は
ふっと、デクと共に姿を消した……
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作者名：あすと | 作成日時：2018年8月1日 13時
