明日は晴れる１（リクエスト） ページ40
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「本当よく、降るなぁ」
「部活が休みになんのはいいんだけどね」
「喜んでん、じゃん」
学校からの帰り道。
今日は部活が休みになり、久しぶりに五郎と一緒の下校だ。
着かず離れずの距離を保ちながら、傘を打つ雨の音に紛れて、ぽつぽつと言葉を交わす。
「もう、うんざりだ、ね」
傘が邪魔で互いの姿は見えない。
視線はアスファルトに跳ねる雨粒を追いながら、しかし四郎は先程から五郎の不自然な言葉の切り方に気を取られ、雨のことは半ば意識の外に追いやられている。
今年の梅雨はとにかく長雨だ。
多少偏頭痛の気のある自分も、最近は毎日こめかみの痛みに煩わされているくらいだから、五郎の身体はさらに顕著に影響を受けている。
一昨日辺りからは夜間早朝の咳も目立ち、今朝測ったピークフローの値は、あまり思わしくない。
本当は無理をさせたくないというのが兄弟の総意であったが、五郎は首を縦に振らず、今日も休まず授業を受けてきたのだ。
しばらく、無言のまま歩を進める。
少し咳が混じってきた。
「ごろくん！苦しいんじゃない！？」
「ん…やだ…ど、しよ…」
雨音の中でも分かる程怪しくなり出した呼吸に、慌てて傘の中を覗き込むと、不安げに揺れる瞳と目が合う。
まずい、発作だ。
「ごろくん、大丈夫。落ち着いて」
「し、ろ…っや…だ…」
「ん。大丈夫、大丈夫」
五郎の背中を摩りながら、吸入薬を取り出そうと制服のポケットを探る。
手から離れた自分の傘が、道路の上に転がるのが視界の端に映る。
五郎にかける「大丈夫」の言葉は、自分自身に対してのものだ。
「ごろくん！吸える？」
ヒューヒューゼイゼイ
喉の奥から酷い音が聞こえる。
急激に悪くなっていく症状に焦り、震える手を何とか抑えて吸入させるも効果はない。
「ごろくん、乗って！」
幸い家はすぐそこだ。
五郎の目の前にしゃがみ込み背中を向けると、すぐに体重がかかる。
同じ位の身長の人間を運ぶのはなかなか大変だ。
でもそんなことも気にならない程必死で、とにかく家を目指す。
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にひひ - とっても面白かったです！ありがとうございました。 (2020年8月1日 7時) (
レス) id: 6032ca778f (このIDを非表示/違反報告)
はちこ(プロフ) - にひひさん» お待たせして、申し訳ありません。ご希望に添えたかどうか不安ですが…リクエストありがとうございました。 (2020年7月31日 18時) (レス) id: fdcdcf1450 (このIDを非表示/違反報告)
にひひ - リクエストです。雨の日に発作が起き家の治療でも治らず病院へ発作が収まり家に帰るとまた発作がというお話をお願い致します。発作はどっちも大きいものでお願いします (2020年7月24日 17時) (レス) id: 6032ca778f (このIDを非表示/違反報告)
はちこ(プロフ) - にひひさん» ご期待に添えるものが書けるかどうか分かりませんが、それでもよろしければリクエストお受け出来ます。 (2020年7月23日 21時) (レス) id: fdcdcf1450 (このIDを非表示/違反報告)
にひひ - リクエストいいですか？ (2020年7月23日 15時) (レス) id: 6032ca778f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はちこ | 作成日時：2020年4月23日 20時
