【刀剣乱舞】神楽の真意【原神】 (ページ8)

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『……神櫻に似た匂いがすると思えば、こんな所にあったんじゃな』

濁った空気の中、唯一安らぎを感じることのできたと言う違和感。それはAの傍にあった神櫻と似ている様で似ていない、そんな匂いがこの本殿からしていた。

Aが此処に来たのは、その匂いが気になったからと、神楽舞を踊った時の元素力の消費が少なかったから。

この世界には存在しない己が、なぜ、ここに居るのか。なぜ元素の力が使えるのか。神櫻であれば分かるのではないかと言う僅かな期待を胸に此処にきていたのだ。

結果的にそれは神櫻であり、なぜ、と言う疑問情報を得れそうだった。

ぴと─────

神櫻にそっと触れ、雷元素を少しずつ流していく。

元素の流れから記憶を読み取り、此処についての情報を脳へと盗んでいった。Aが元素力を流していく度、櫻の木がふわふわりと色づいていく。

あともう少しで全て読み取れる、と言ったところまでいった瞬間。全てを拒絶するかの様なバチバチとした雷が降ってきた。

『っこれは……！』

Aは知っていた、その雷の力を。全てを拒絶するあの劈くような雷は───。

伸ばしていた手を胸元へと運び、自身の手の中を見る。

櫻の花びらが二つ並んでいる。

Aは口角を緩ませ、神櫻の元から去っていく。その後ろ姿には、Aを護ろうとしているかのような力がグルグルとへばりついていた。

少し歩き、まだ離れにつかず。

程々歩き、まだ離れにつかず。

沢山歩き、まだ離れにつかず。

異様な光景であることを気にせずAは平然と歩き続けていた。

ぴたり。

止まったかと思えば誰もいない空間へと喋りだす。

『さて、そこに居る童よ。妾に何か用でも？』

側から見たら異常者であるが、Aは人間ではなく、歴代仙狐の力を直で受け続けた神鈴である。僅かな音でもその耳で聞き逃しはしない。

数秒の間のあと、現れた三日月にAは怪しげな笑みを浮かべる。

「はっはっは、バレていたとはな。では率直に言わせてもらおう。審神者よ、此処から出て」

『妾は審神者などではないが？』

「……は？」

目の前の男はAを審神者だと勘違いしている様で、「嘘を吐いたとしても────」などと脅しをかけている。

しかし、雷電眞に仕えていた時代から大切にされてきた神鈴であるAからして見れば、チワワがキャンキャンと威嚇している様にしか見えなかった。