Smile (ページ7)

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五右衛門side

真夜中。

怖い夢を見たのか泣いて私の元に来たA。

優しく抱き上げ、寒くないよう羽織を被せる。

A「お父さん…」

五右衛門「大丈夫。ここに居るよ。」

大粒の涙と汗で小さな顔がぐちゃぐちゃになる程泣くなんて初めての事で正直戸惑ったが、撫でる大きな手に安心するのか涙が少しずつ引いてきた時にはほっとした。

月が真上の上り、辺りがやけに明るい。

この時間の月をちゃんと見たことがなかったからか、とても綺麗だと思えた。

この先、こんなに綺麗な月をAと共に何度見れるだろうか。

この先、どれくらいこの月のようにAを幸せに包めるだろうか。

A「お父さん……」

突然私の名前を呼んだと思ったら、ぎゅっと抱きしめてきた。

五右衛門「！！」

A「もう泣かない。もう泣かないから、お願い。Aの傍に居て？」

いつもより強く、いつもより長い小さな温もり。

A「お父さんが遠くに行ってしまうような気がしてとても怖い。」

五右衛門「心配するな。ずっと傍に居る。」

A「本当に？」

五右衛門「本当に。」

それに答えるようにぎゅっと抱き締めると安心したのかようやく眠りについた。

今日はこのまま眠りにつこう。夢の中でも、安心していられるように。