Smile (ページ38)

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重なるページ38

五右衛門side

さよ先生「大変申し訳ございませんでした。」

五右衛門「いえ、謝るべきはこちらです。あれ程先生から離れるなと言ったのに。」

窓から差し込むまん丸の月明かりがふたりを優しく包み込む。

五右衛門「ショッピングモールでの事を聞きました。言いつけを守らなかった事は事実。きつく叱るのは親として当然の事だと思っています。ですが……」

さよ先生は不思議そうな顔をしてこちらに視線を向けた。

五右衛門「言い訳をさせて下さい。あの子は正義感が強い子なんです。おふたりを守ったあの子が誇らしい。」

さよ先生は最初程目を見開いてしばらく驚いていた。

さよ先生「Aちゃんから聞いたんですね。すみません。黙っていて。来春産まれるんです。なので、この遠足があの子達との最後のイベントだったんです。それなのに……」

月を見上げていた瞳は次第に俯いて唇を噛んでいた。

さよ先生「ダメですね。Aちゃんの事も守れないなんて先生としても、お母さんとしても……」

五右衛門「先生……」

さよ先生の右手を取り、両手で包み込む。

五右衛門「Aも私もそんな事思ってはおりません。Aにはそうしたいと思う事は何でもさせてあげたいと思っているんです。

今回、さよ先生とその子を守りたいと思ったから行動した。ただそれだけの事。だから、案ずるな。」

さよ先生「ありがとう…ございます……」

先生の瞳から流れた涙は月明かりに照らされ輝いていた。