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雪ちゃんも帰ってしまい、ふたりになってしまった。
A「みんな帰っちゃったね。」
ケイタ「寂しいのか?」
A「そ、そんな事ないけど…そういうケイタはどうなの?」
ケイタ「俺はお前がいるからなんともねえ!」
近くにいるのに大分大きい声を出すから目をまん丸くしていたら耳を赤くしているケイタに手が止まってると怒られてしまった。
少しの沈黙を置いて、土を少し掘って川を作ろうとしていた時だった。
ケイタ「お前、母ちゃん居ないんだな。」
A「なんで知ってるの?」
ケイタ「先生が話してるの聞いた。」
A「………」
ケイタ「俺も同じだ。俺もお母さん居ない。」
A「!?」
普段はやんちゃで遊ぶのが大好きなケイタ君がこんなに寂しそうな顔をする事があるんだと初めて気がついた。
A「寂しく、ないの?」
ケイタ「寂しいよ。なんで俺だけ、お母さんがいないんだろうって思うもん。でも……」
そう言って立ち上がり、私に目を合わせたケイタ君。
ケイタ「でも、そう思ってるの俺だけじゃないって分かったから。」
とても暖かかい風が間を通り過ぎていくのが分かった。心の中に色がついて笑顔を向けると、ケイタ君も笑顔で返してくれた。
先生「Aちゃん。ケイタ君。お迎え来たわよ!」
さよ先生に声をかけられそちらを向くと、お父さんとケイタ君のお父さんを見つけた。
さよ「帰る準備しましょう!まず、おてて洗おうか?」
A・ケイタ「はーい。」
先生にさよならを言い、門の所までそれぞれ手を繋ぐ。
どうやらお父さん達も仲良くなったみたい。お父さんがこんな風に喋っているの久しぶりかも。
ケイタ「じゃあな、A。また明日。」
A「うん。また明日。」
手を振って別々の方向に道を歩く。
ケイタ「A!!」
A「?!」
ケイタ「今度は秘密基地もっとでかいの作ろうぜ!!ニッ))」
A「うん!!」
めいいっぱい手を振り合い、笑顔になる。
なんだろう。この気持ち。温かい。
胸に手を当てそっと笑う。
きっと、この気持ちを知った今日の事はずっと忘れないんだろうな。
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作者名:緋色 | 作成日時:2021年10月3日 18時