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通行人「危ない!!皆、逃げろ!!」
警備員「こら、待て!!刃物を離せ!!」
街路の向こうから聞こえてくる悲鳴と共に次々と人が倒れているのが分かる。
通行人の何人かは走って追いかけているが、刃物を持った男はどんどん加速し、こちらへと向かってきていた。
その時だった。
男「!…見つけた((ッニ」
A「ゾワッ……!!」
その男と目が合った瞬間背筋が凍り、動けなくなってしまった。
こちらに向かって刃物を振りかざし襲いかかって来るその瞬間がスローに見え、お母さんの手をギュッと握った。
A「(おかぁ……)」
声にならない声が喋り終わる前に今までにないくらいの強い力とお母さんの香りが自分全体を包んだ。
一瞬何が起きたのか分からなかったが、一瞬のうちに理解が追いつきまた映像として同じ光景が繰り返される。
通行人「待て!!コラ!!!」
警察「警察だ!止めろ!!」
男「オラァ!邪魔だ!!」
何人もの人に足や腕を取り押さえられ荒だたしく離れていき、最終的には警察に頭を棒で叩かれ倒れてしまった。
赤く染った服とそこら中に散らばった買い物袋の中身。
お母さんを助けなきゃ………
警察「君たちはそっちを頼む!!君は救急車を呼んでくれ!」
警備員「はい!!」
警察「お嬢さん聞こえますか?大丈夫だよ。すぐ助けが来るからね。」
警察官によって引き離されたお母さんの手を掴もうと伸ばすその手も赤く濡れていた。
A「おかぁ…さん……」
あれ………
おかしいな………
段々と意識が朦朧とし目がぼやけ耳鳴りが酷い。
目の先に居るはずのお母さんの姿はもはやお母さんなのか分からなくなった。
手をどれだけ伸ばしても、もう届く事はない。
どれだけお母さんを呼んでも、もう届く事はない。
お母さん………
救急車に乗せられるのを最後に意識が途絶えた。
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作者名:緋色 | 作成日時:2021年10月3日 18時