第三十六話 過去 ページ40
A「お待たせしました。では食べましょうか」
テーブルの上に2人分の食事を置いてスプーンを手に取る
ロイ「ありがとう。ではいただくよ」
角ばった大きな手でスプーンを持ち、料理を口に運ぶ
心配気にこちらを覗き込む顔が、目に入り知らない間に笑みが漏れる
ロイ「美味しいよ。すごく」
A「よかったです。久しぶりに作ったので」
今の雰囲気なら聞けるだろうか、疑問に思っていたことを
ロイ「それにしても、どうして君の家はこんなに広いんだ？一人暮らしだろう？」
ちまちまと料理を口に運んでいた手が止まった
何か聞いてはいけないことを聞いてしまったか？
ロイ「いや、すまない。言いたくなかったら別に…」
A「他に、行く当てがないんですよ。」
どういうことだ？
両親はいなくてもその他に一人ぐらいは…
ロイ「親戚などの血族はいないのか？」
A「いても、きっと無理です。何より恵まれた子じゃなかったので。」
ロイ「それは、どういうことだ？」
A「私は、母の離婚相手の子供だったんです。当然、子持ちの人なんて迷惑がられるだけですし毎日のように罵られてました。」
ロイ「な…」
A「もう気にしてませんよ。昔の事なので」
でも、そういう彼女の表情は、とても平気そうではなかった
今更ながら、そんな顔をさせてしまった自分に苛立ちを感じる
ロイ「一人で…一人で抱え込むな。もっと周りを頼れ。それが無理なら、せめて、私にだけは話してくれ、心の内を。」
ゆっくりと立ち上がり、包み込むように彼女を抱きしめた。
抱きしめるを拒まれなかったことに内心安堵の息を吐く
大人しくされるがままになっていた腕の中の彼女はやがて、微かに震え出した
A「…本当は…ずっと…寂しかったんです。…周りには誰もいなくて…いつも一人で…助けなんて…求められなくて…」
そう。いつだって一人だった。
冷たい視線で、誰も助けてくれなくて
深い闇の中で、必死にもがいて足掻いて
やっとの事で掴んだ幸せも、気づけばなくなっていて
ロイ「私なら、君を独りにはしない。悲しみの淵から救い出して見せる。だから…もう…1人で抱え込まないでくれ」
そんな暗闇から手を差し伸べてくれる人がいる。
助けてくれる人がいる。
A「……はい。」
悲しいだけの意味以外で涙を流したのは初めてだった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 80人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミルクキャンディー - 遥@むらさきらびっとさん» ありがとうございますっ！頑張るのでよかったら続編の方もよろしくお願いします^ - ^ (2014年3月9日 17時) (
レス) id: 4a6806c3ce (このIDを非表示/違反報告)
遥@むらさきらびっと(プロフ) - 続編ですか頑張ってください!!
(2014年3月9日 14時) (携帯から) (レス) id: a63dbd0aac (このIDを非表示/違反報告)
ミルクキャンディー - みお。さん» ありがとうございますっ^o^本当に言われたらリアルに倒れそう…www (2014年2月20日 20時) (レス) id: 4a6806c3ce (このIDを非表示/違反報告)
みお。(プロフ) - たっ…大佐っ!!かっこよすぎる!///一緒に入ってくれないのかとか(爆)言われたら死ぬ(>< )鼻血出してしまう← 最高です!! (2014年2月19日 20時) (レス) id: d7fa64555d (このIDを非表示/違反報告)
ミルクキャンディー - みお。さん» ありがとうございます^_^私も現実で大佐に抱きしめられたい…←もう本当にかっこよすぎてヤバイですwww (2014年2月16日 7時) (レス) id: 4a6806c3ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミルクキャンディー | 作成日時：2014年1月17日 3時
