私立宝石学園 (ページ8)

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ジレンマページ8

🦋side

幼なじみとの突然の再開。

聞き慣れた、呼び慣れた名前。

日本にいた頃の学校の記憶は必ずと言っていいほどAと一緒で。

誰よりも気を許してた相手。

また会えるなんて思ってなかった。

「俺の事覚えてない？」

気まずくて韓国に逃げたみたいになったけど伝えようもなく連絡先も知らなかった。

まさかここでまた会えるなんて。

「俺の元カノ」

そんなことを言って困らせてみる。

どんな反応が帰ってくるのか試してしまう。

またあの時みたいに仲良くなれたら。

そんな淡い期待を込めて。

あの時は恋愛感情なんて持ってなかったと思ってるけど

韓国に来てから気になる子は誰かの話が出る度にAが頭をよぎってたのは内緒。

今でもそれが恋だったなんて思わない

でも俺にとって凄く大切な存在だって今日再開して

昔と変わらないその表情を見て

思い知ったんだ。

－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－
一日が終わり、帰ろうと教室を出た時だった。

🐺「おい……アレ。」

ジョンウの視線の先にはA。

誰かに絡まれているようだった。

🐺「アイツっていい噂聞かないヤツだよな。確か女の関係にだらしない的な……」

(なんだアイツ……)

Aは少し困っているようにも見える。

馴れ馴れしくそばに寄り、Aの机に腰掛けるその相手に少しの不快感を感じた時だった。

Aの腕を掴むその男。

瞬間、自分の頭に血が上るのを感じた。

(触るな)

急に湧き上がった感情に気づき、独占欲丸出しの固く握りしめた拳をポッケに隠す。

俺が干渉しすぎるのもAにとっては負担かもしれない。

そうやって弱気になり何も出来ないでいる俺より先にジョンウは「助けなきゃ」と呟きAの元へと歩いていってしまった。

……俺はまた勇気が出なかった。

一体何をしてるんだ。

別れた時も、再開した時も、自分の本当の感情を伝えられないまま。

余裕のあるふりをする。

どれだけ大切に思っていても。

「一緒に帰るぞ」

そんなことしか言えない自分に嫌気がさすんだ。