お前こそ誰だ ページ5
？「……田中？……聞き覚えあるな」
この世に一体何人田中が居ると思ってんだ。そりゃ韓国人でも聞いた事くらいあるだろ。
そんなことを思いつつ彼を見つめた。
？[……お前どこ中？]
急に聞き馴染みのある言語が響く。
つい最近まで使っていた日本語。
イントネーションの自然さからこの子もどうやら日本人のようだと伺えた。
〚都立𓏸𓏸中学校ですが……？〛
？[いや、違うだろ。]
(？？？？？？？え？？？何？？？？？)
(怖いんだけど……)
私は生まれも卒業した中学校も東京だ。
嘘なんてついていないのに。
それに、田中なんて名前ありふれてるのに人違いだったらどうするんだと少し呆れる気持ちまで出てくる。
明らかに困惑する私にその子はあー違う、といって険しい顔をした。
？[小学校！！！小学校は！？]
……小学校と中学一年までは父の仕事の都合で福岡にいた。
〚△△小学校……〛
そう答えるとその子はそれが聞きたかったというような顔をして笑いながら言った。
？「俺のこともう覚えてない？ㅋㅋㅋㅋ」
新手の詐欺のように押し問答をされて、私は頭が混乱してしまう。
言われてみればこの半笑いと喋り方に聞き覚えがあるような。
しかし年齢的にも声変わりがまだだっただろうに、そこからさらに言語まで違うのでは大分ヒントは少なくなってしまうだろう。
『ごめん……名前聞いてもいい？』
思い出せないことに多少の申し訳なさも感じつつ、向こうだって私が名乗ってわかったわけだしそっちだけ名乗らないのも……と名前を聞くことにしてみた。
🦋「渡辺温斗。小学校の時仲良かったんだけど……」
その名前を聞いて、小学校の時の思い出が蘇ってくる。
その名前の響きはとても懐かしく、同時に少し苦い思い出も蘇ってくるのだった。
その理由は恥ずかしくも私の最初で最後の彼氏の名前だったから。
『思い出したよ……』
力なく笑う私とニヤリと笑みを浮かべるハルト。
きっとハルトはこんなにイケメンに育ったのだから、友達の延長で付き合っていた私のことなんて気にしてないどころか覚えてもないのだろうと思い、私だけが恥ずかしくなってくる。
私たちを不思議そうな目でジョンウが見ていた。
🐺「2人知り合いだったの！？」
確かに日本人だけどそんなことある！？と大層驚いているようだ。
私もびっくり所では無い。
するとハルトはイタズラっぽい笑みを浮かべ言った。
🦋「うん、俺の元カノ」
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作者名：たるるんい | 作成日時：2023年11月11日 5時
