無意識 ページ26
🐶side
真っ赤になったA。
俺たちがあまりにもガン見してしまったからか、Aはルトの後ろに隠れてしまった。
正直小動物みたいで可愛い。
しかし少しだけ気に食わない点がひとつ。
ルトヤ、お前はなんでちょっとニヤついてんだ。
なんかよく分からんが仲良しマウントを取られている気がする。
まるで俺が手懐けたとでも言わんとするような表情に少しだけイラっとしてしまった。
「ごめんね〜?うちのキムドヨンが〜!」
そう言って優しくなだめてあげようと思ってルトの後ろを覗き込む。
しかし彼女の様子を見ているとなぜだか優しくしたくなくなってきた。
きゅっと結ばれた桃色の唇。
紅潮した柔らかそうな頬。
うるうると涙の張った目は庇護欲を掻き立てられる。
そのはずが俺の中に芽生えたのは支配欲に近いものだった。
キュートアグレッションと呼ばれるものだろうか。
もっと振り回したい、何もかもを手のひらの内に収めたいと思い。
この子の涙の原因が俺じゃないことに苛立ちを覚えた。
「大丈夫だから出てきなよ」
まるで優しい先輩かのような皮を被って手を取る。
彼女はこんな空気で出られませんよ!と焦りながら八の字に眉を下げた。
隣の鏡に映るのは俺の心底楽しそうな表情。
俺ってこんな顔もするのかと己の知らない一面を知ったのだった。
「まぁまぁ、嫌でも慣れるって。どうせこの先も一緒に過ごすでしょ?」
俺が笑いながらそう言うとAは「ずっと……?」と、まるで今聞きましたとでも言わんばかりに綺麗なアーモンド型の目をまん丸に見開いた。
その表情があまりにも可愛くて。
(もう少し、もう少しだけ困らせてみたい)
泣かせるまでに彼女を恥ずかしがらせた原因がドヨンアなのが少し悔しかった俺は、次は俺が彼女を翻弄したいと思ってしまう。
「ルトから聞かなかったの?」
わざとその瞳に吸い込まれに行くかのように。
ゆっくりと顔を近づけようと
{ガラガラガラ}
🦔「お前らあつまってるかー?」
遅れて入ってきたヒョンソギヒョン。
ほんの少しの状況の変化だが、俺が正気に戻るには十分だった。
(……俺は一体何をしようと)
🦋「流石に近すぎるやろㅋㅋ」
動きが止まった隙に、ルトが「これ以上はからかわないでやってㅎㅎ」と冗談のように顔と顔の間を手で遮る。
俺はなぜここまで彼女に固執していたのだろう。
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作者名:たるるんい | 作成日時:2023年11月11日 5時