王子登場 ページ24
?「ごめんね遅れちゃって、後輩の子に話があるからって呼び止められちゃって……」
そう言って少し困ったように笑った男の人は1つ上の先輩だった。
🐮「はぁ……またか……」
そう言って呆れ返るジョンファナ。
なぜだかその「用事」を部のメンバーは察しているようだった。
🐮「どうせまた「振るならもっと酷く振って!!」なんて言われて泣かせちゃったんでしょう?」
?「あはは、本当にその通り……」
そう言って気まずそうに笑ってから視線をこちらに向ける。
目が合った、と思った瞬間ゆっくりとこちらに近づいて来た。
丸くて綺麗な瞳にはこれでもかと光が含まれていてキラキラと光っているかのようである。
?「もしかして君が今日来るって言われてたルトヤの幼なじみ?」
制服は第1ボタンまでしっかりと閉められ、ネクタイはきちりと上まであげられていた。
すらりとしたスタイルも含めスマートに歩いてくる姿はさながら王子と言ったところだろうか。
?「わぁ……너무 예쁘네(ノムイェップネ)」
『……………………ぅえ!?』
(今この人なんて言った!?)
私の聞き間違いでなければ「いぇっぷね」と……
どんどん自分の顔が熱くなるのを感じる。
(ジフン先輩といいこの先輩といいなぜ私に可愛いと……!!!!!)
イエッポもキヨミも韓国語では「可愛い」を指す単語だ。
ちなみに先程ジフン先輩が使っていたキヨミのニュアンスは小さな子供を褒めるかのような使い方。
しかしイエッポには「綺麗だ」という意味も込められていて、女性を褒める時はキヨミよりもイエッポの方が適切な時もあると語学塾で学んだ。
つまりこの先輩は私を1人の人間として「綺麗だ、かわいい」と褒めてくれたのである。
さてここで私のプロフィールを振り返ってみよう。
私には彼氏がいない。
そして唯一いる「一応」元カレには恋愛対象とされていなかった。
そんな男性経験ゼロに近い女が、異性に「とても綺麗だね」なんて言われてまともでいられるだろうか。
答えはノー、そんな綺麗な顔で微笑みながら言われてしまったものだから私が本気で受け止めてしまうのも無理はなかった。
言葉になりきらない音が口から漏れ出す。
皆が私達に注目し、時が止まったかのように部室内は静まり返っている。
その時ジフン先輩の声が響き渡った。
🐶「キムドヨーーーーン!!!💢💢」
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作者名:たるるんい | 作成日時:2023年11月11日 5時