早起き ページ15
『……』
目が覚めたかと思えば空はまだほの暗く、日が登りきっていなかった。
時計を見るとまだアラームをかけた時間にすらなっていない。
どうやら高揚感からか早く起きてしまったようだ。
身支度をし、静かに音を立てないように廊下に出る。
人がいなくなった部屋にドアノブのカチャリと冷たい音が響いた。
通常は二人で部屋を使うのだが私は転入が決まったのがギリギリだったこともあり一人部屋になっている。
同室の子と仲良くなって女子トーク!なんて希望も持っていたが、人に配慮する必要がない分こうして朝早くからでも活動ができるという点では一人部屋も案外良いものだなと思えるのだった。
そんなことを考えながら階段を下り1階まで行く。
テラスに出ると冷たい風が私の行く手を阻むのだった。
春とはいえ日本に比べるとまだまだ寒い。
羽織ってきたカーディガンはあまりにも心もとなく、まだ日の出きっていない屋外を歩くには向いていなかった。
諦めて屋内でのんびりできる場所を探す。
朝食を食べるための食堂が空くにはまだ少しだけ時間があった。
食堂には調理場のみ電気がつき、忙しなく稼働する調理器具の音だけが響いている。
人の気配のない廊下を進み、男子寮と女子寮のちょうど間にある共有スペースにたどり着くと、自販機と一休みできそうなソファがあったのだった。
暖かいココアでも飲みながら食堂が空くのを待とうと思い自販機の方へ向かう。
その時だった。
角からふっと出てきた人とぶつかってしまう。
『あいごっ!』
?「うわぁ!ごめんなさい!ぼーっとしてた!」
(やばい……転ぶ!!!!!)
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作者名:たるるんい | 作成日時:2023年11月11日 5時