明日の約束 ページ13
🐺side
自室に着きリュックを下ろす。
同室のハルトとはヒョンソギヒョンと話して来るから先に帰っててと言われたので途中で別れた。
「はぁ〜」
ベッドに腰掛けると勝手に声が漏れてしまう。
今日は色んなことがありすぎた。
ブーッブーッ
手に持っていたスマホが軽く震える。
画面には「新しいメッセージ」とカトクの通知が表示された。
『お疲れ様!!今日はありがとう!明日楽しみにしてるね☺️』
カトクの相手は今日転入してきたA。
「いい子だったな……」
最初に挨拶した時から彼女から目が離せなくて、もっと知りたい。と思わせるような子だった。
近くの席になる子だからなのか、中高一貫校に転入してきたのが珍しかったのか、親友と同じ出身だったからなのか。
自分でも分からない。
まさかその親友の恋人だったとは思わなかったけど。
……いや、「元」恋人か。
それでもルトと一緒にデートに行ったり手を繋いだりしたのかな。
どっちから告白したんだろう。
すごく仲良さそうだけどお互いにまだ好意が残ってるのか。
そんなことを無意識のうちに考えてしまっている。
一体親友と今日会ったばかりの子でなんてこと考えてるんだ……
「俺ってサイテーだな……」
そうだと分かっていても2人の仲の良さを見る度にモヤッとしてしまう自分がいる。
「こちらこそありがとう!明日他に見たいとかあったら全然気軽に言ってね!!」
先程の考えとは裏腹に何事もないかのように返事する。
明日の約束負担になってないといいな。
帰る途中で明日の部活見学の話になり勢いで自分達の部活を見てくれないかと誘ってしまった。
もっと仲良くなりたい一心で急に距離を縮めすぎたかもしれない。
引かれてないかな……
不安もあるけどそれ以上に明日への期待は膨らんでいた。
ともかく深く考えず、明日早起きできるように今日はもう休もう。
「お疲れ様」のスタンプだけ送りスマホの電源をオフにする。
暗くなった液晶に映る自分は笑みを浮かべていた。
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作者名:たるるんい | 作成日時:2023年11月11日 5時