この世界の終わりには ２【不死川実弥】

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本当に、終わったんだなぁ。


こんなに平穏だと、鬼がいたことすら忘れてしまう。





というのは、全くの嘘だけど。


人々から多くを奪った鬼のことは、一生忘れない。


それでもいつか、忘れてしまうんじゃないかと思うほどの、平穏。





カ「っAちゃん！！」

『カナヲ…？』

カ「はやく！！」





桜の木の下で伸びをしていると焦った様子で現れたカナヲ。


珍しい、最近仲睦まじい炭治郎と何かあったのかな。





いや…炭治郎の身に何かあったのだろうか。


無惨が死んで、わたしが意識を失った後、炭治郎が短時間だが鬼になったという。


今となっては信じられないが、身体に何が起きてもおかしくない。




『どうしたの！？炭治郎に何かあった！？』

カ「大丈夫、そうじゃない！いいからこっち！」



そうじゃないならよかった〜


手首をひっぱられながらドタドタと廊下を走る。


ところでカナヲは炭治郎と一体どういう関係なんだろう。


二人の間にはいつもほわほわした空気が漂っていてむず痒くなったりする。かわいい。





そんなことより首に巻いてる白い蛇は伊黒さんのあの鏑丸くんではないだろうか、
と泣きそうになりながら見つめていると、手を伝ってきてペロッと舐められた。





途中禰豆子ちゃんとすれ違い、廊下を曲がった先に見えたのは、見覚えのある後ろ姿。





ぐるぐる適当なことを考えていた頭が急に真っ白になった。


心臓が大きくドクンッと音を立てる。





カ「Aちゃん、がんばって！」




カナヲは炭治郎のところ行ってくる、なんて言いながらすたたたっといなくなった。


ほんとに主体的になったなー、なんて感心してる場合ではない。






その後ろ姿は。


誰より会いたかったはずの人。

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