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家族と一緒にいたい。
だってもうわたしには何もない。
そう思ったとき、後ろから誰かに手を引かれた。
『誰…?』
返答はない。
けれど、この手の感覚は、知ってる。
「A。」
そう呼ぶこの声も、知ってる。
『っ実弥…?』
そうだ。
まだやらなくちゃいけないことがある。
わたしは、実弥に気持ちをちゃんと伝えてない。
『…やっと、会えたけど、みんなといたいけど、まだ、やることがあるんだ、わたし。
一人で、幸せになっても良い…?』
父「当たり前だ、お前の幸せが俺たちの幸せだ。」
母「自分を、大切にね?」
弟「もう泣いてばっかでいるんじゃねーぞ!」
妹「お姉ちゃん、たくさん笑ってね。」
家族に伝えると、みんな微笑んでくれた。
暗闇から一気に引き上げられる。
……
「Aさん!!」
「Aさん起きました!!」
「Aさーん!!」
眩しい。
もう太陽は真上に上りつつある。
わたし、目を覚ましたんだ。
力を入れても身体は全く動かないけど、
ふと視線を下に向けると、誰かと繋がってる手。
「隣にいるのは不死川さんです。」
「どうしても離れないので、Aさんの意識が戻り次第一緒に運ぼうかと。」
「不死川さんも意識は戻ったんですが、Aさんの近くまで来て、また眠られました。」
そっか。
名前を呼んでくれたのは、手を引いてくれたのは、やっぱり実弥だったんだ。
目線を左に向けると、寝息を立てて、すやすや寝ている実弥。
みんなのおかげで、生きられた。
涙を流し、また眠りについた。
……
わたしが目を覚ましたのはそれから二週間後だった。
日差しの眩しさと暖かさに、また天国かと思いながら目を開け、身体を起こすと、
足元でアオイが点滴を準備していた。
蝶屋敷に帰ってきてたんだ。
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金平糖 - うぅ...感動しました... 一気読みしたんですが、一気読みしたからこそ凄く感動しました。こういう系の話には弱いので、、、 (2021年10月2日 23時) (レス) @page45 id: f3f7dadf62 (このIDを非表示/違反報告)
雪乃 - 不死川の夢小説少なかったのでとても嬉しかったです!出来れば続編も読みたいです、お願いします。一つ…鬼舞辻が鬼゙無゙辻になってたので、そこは直して頂きたいですね。 (2020年12月11日 7時) (レス) id: cedaea8f17 (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - ろこもさん» 完結おめでとうございます!素敵な作品でした!実弥と夢主が幸せになれて良かったです(はぁと)ろこもさんも大好きです!ありがとうございました! (2020年8月7日 5時) (レス) id: abbc87cbf8 (このIDを非表示/違反報告)
ろこも(プロフ) - 我妻ライさん» 我妻ライ様!返信遅れてしまいすみません!絶叫嬉しい限りです!元気が出て頑張れました!!読んでくださりありがとうございます! (2020年8月7日 0時) (レス) id: ef1ad6d2c7 (このIDを非表示/違反報告)
ろこも(プロフ) - かぼさん» かぼ様!返信遅れてしまいすみません…!一気読みありがとうございます!実弥さんを表す文章力が足りませんが、より好きになるお手伝いができれば嬉しい限りです…ありがとうございます…! (2020年8月7日 0時) (レス) id: ef1ad6d2c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろこも | 作成日時:2020年7月7日 22時