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実「俺にとってお前を守ることがマイナスになるわけじゃねェ。
お前が弱かったとして、守ったことで俺が死ぬと思うならそれは俺のこと馬鹿にしすぎだァ。」
『…でも、実弥に、わたしのことまで背負わせたくなくって。』
実「どうせそんなチンケなこと考えてんだろうと思ってた。
お前は相変わらずいつも人の心配ばっかりだなァ、少しは自分のことも考えられねぇのかよ。」
チンケってなんだよ〜
小さい脳味噌なりに考えたのに。
でも、耳タコなくらい言われるその言葉。
はぁ、逆にわたしは自分勝手なんだ。
自分を守ることでその人が傷つくのが怖い。
怖いから、引っ込んだ。
ただそれだけ。
自分が前線に出たら、誰の役にも立てない、迷惑をかけてしまう。
それならば生きてる意味がない。
そう認めるのが、怖かっただけ。
実「そんな顔すんじゃねェ。」
実弥は大きな手をわたしの頭にポンと乗せる。
実「あの日お前にあぁ言われたからって俺がお前を守らなくなるわけじゃねェ。
あの一晩で俺にとってのお前の存在が変わるわけねェ。
例え時透と何かあろうが俺は藤の屋敷を出たあの日から何も変わらねェ。
そんなの、お前ならわかってんだろ?」
びっくり、した。
まだ実弥の中に確かに存在していたわたしに。
実弥の言葉を脳内で繰り返す内に、なんだか胸があったかくなって、
この三年ずっとあったつっかえがスッとなくなった。
なんて返すべきかはわからない。
それでも、変わらず優しい実弥に。
勢いよくぎゅっと、抱きついた。
『実弥、会いたかった。』
驚き体勢を崩しながらも受け止めてくれる。
背中を支えて頭を撫でるその温もりは、
逃げ続けていた気持ちを素直に認めるには十分だった。
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金平糖 - うぅ...感動しました... 一気読みしたんですが、一気読みしたからこそ凄く感動しました。こういう系の話には弱いので、、、 (2021年10月2日 23時) (レス) @page45 id: f3f7dadf62 (このIDを非表示/違反報告)
雪乃 - 不死川の夢小説少なかったのでとても嬉しかったです!出来れば続編も読みたいです、お願いします。一つ…鬼舞辻が鬼゙無゙辻になってたので、そこは直して頂きたいですね。 (2020年12月11日 7時) (レス) id: cedaea8f17 (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - ろこもさん» 完結おめでとうございます!素敵な作品でした!実弥と夢主が幸せになれて良かったです(はぁと)ろこもさんも大好きです!ありがとうございました! (2020年8月7日 5時) (レス) id: abbc87cbf8 (このIDを非表示/違反報告)
ろこも(プロフ) - 我妻ライさん» 我妻ライ様!返信遅れてしまいすみません!絶叫嬉しい限りです!元気が出て頑張れました!!読んでくださりありがとうございます! (2020年8月7日 0時) (レス) id: ef1ad6d2c7 (このIDを非表示/違反報告)
ろこも(プロフ) - かぼさん» かぼ様!返信遅れてしまいすみません…!一気読みありがとうございます!実弥さんを表す文章力が足りませんが、より好きになるお手伝いができれば嬉しい限りです…ありがとうございます…! (2020年8月7日 0時) (レス) id: ef1ad6d2c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろこも | 作成日時:2020年7月7日 22時