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『今日も雪みたいです。』
「そうかァ。」
『訓練、行かれるんですか?』
「当然だ。っ」
立ち上がろうとして、大きくよろける実弥さん。
支えようとしたわたしも足が痛くて踏ん張れず、共々布団に倒れ込んだ。
…ひぃぃぃ!なんだこれ。
布団と実弥さんの胸筋で横顔サンドイッチ。
おかしな展開にまた胸が騒つく。
「っわりィ。」
身体を起こした実弥さん。
わたしを見下ろして謝るけど、妙に息が荒い。
なんだか顔も真っ赤だ。
惚れた?
とアホな発想に至った直後に、身体に触れる実弥さんの熱さに気づく。
『あの、実弥さん、熱あるんじゃないですか?』
「あァ?んなわけねェだろ。」
『昨日雪の中、もしかして外で訓練してたりしたんですか?』
「庭だァ、別に良いだろ。」
『馬鹿じゃないですか?』
「あァ?」
口調は相変わらず怖いけど、どう見ても病人。
とてもしんどそうだし、顔色もみるみる悪くなる。
『今日は休みましょう?』
「お前には関係ねェ。」
『そうですけどそんな苦しそうなのに見過ごせないです。』
「そんなの知らねェよ。」
なのに起き上がろうとするもんだから、その腰にしがみついた。
やっぱり、熱すぎる。
踏ん張る足が痛いけど、離したらきっと行ってしまう。
「何すんだてめェ、離せ。」
『嫌です、休まないなら。
助けてくださったんです、心配くらいさせてください。』
「頭狂ってんのかァ?
俺は自分が訓練してぇんだよ、離せ。」
『聞こえません。』
「聞こえてはいるだろォよ!」
ガラッ
急に襖が開き、そこには昨日廊下でぶつかった花柱のカナエさんが立っていた。
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紅葉(プロフ) - ろこもさん» 愛してます!←コイツは頭が壊れた☆ (2020年7月7日 22時) (レス) id: 777c44a6f7 (このIDを非表示/違反報告)
ろこも(プロフ) - 紅葉さん» 紅葉様!コメントありがとうございます!好きと!シンプルに一番嬉しいです励みになります…! (2020年7月7日 22時) (レス) id: ef1ad6d2c7 (このIDを非表示/違反報告)
ろこも(プロフ) - 竜胆友さん» 竜胆友様!コメントありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しい限りです!更新頑張ります…! (2020年7月7日 22時) (レス) id: ef1ad6d2c7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 好き← (2020年7月7日 15時) (レス) id: 777c44a6f7 (このIDを非表示/違反報告)
竜胆友(プロフ) - めちゃ面白です。どんどんろこもさんの世界に引き込まれていきました!続きを楽しみに待っております。 (2020年7月7日 8時) (レス) id: 3d9f00433a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろこも | 作成日時:2020年7月6日 2時