36 ページ36
**
玄「Aさん…!?」
『あ、あらー、ごめんね。馬鹿みたいだね。』
玄弥くんの声で我に帰ると、また、泣いていた。
泣くのは実弥の前だけ、と決めていたわたしだけど、
もう合わせる顔がない今、実弥のことを考えると阿呆らしくなるほど涙が出る。
玄弥くんは恐る恐る手を伸ばし、背中をさすってくれてたけど、気づいたら一緒に泣いていた。
玄弥くんが唯一の肉親である実弥と疎遠になったにはきっと理由があるだろうし、何か後悔があるのだろうか。
そんな中、空気を読まず任務を伝えにきた玄弥くんの鎹烏。
鬼喰いまでして鬼殺隊として戦ってるんだ。
焦ってるように見える玄弥くんに、忘れないでほしいことを。
『実弥、いつも玄弥くんのこと、大切な弟だって、言ってたよ。』
そう伝えると、またボロボロ涙を零していた。
小さく見える大きな身体をギュッと抱きしめて、今度はわたしが背中をさすって。
玄「…行ってきます…!」
しばらくして、少しすっきりした顔で、まっすぐ前を見つめる玄弥くんを送り出す。
わたしも、強くならなくちゃ。
実弥にあんな風に言ったんだ。
自分の決めた生き方で。
出来ることをやらないと、もしもいつか会えたとき向ける顔がない。
し「全く、Aさんにまたこんな顔させて、不死川さんは罪な男ですね。」
『え!?いやこれは別にっ』
し「いい加減話しに行ってみたらどうですか?」
『いや、いやいやいや、そんな資格ないよ。わたしは目の前の仕事をするだけ。』
し「またそうやってー。あまりに働くからカナヲが怖がっていましたよ?
仕事の鬼になるのは私の役目です。貴方は笑っていれば良いんです。」
『しのぶちゃんこそだよ!』
し「毎日笑ってますよ?
面白いですもん、情緒不安定なAさん。」
『酷いな。』
173人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紅葉(プロフ) - ろこもさん» 愛してます!←コイツは頭が壊れた☆ (2020年7月7日 22時) (レス) id: 777c44a6f7 (このIDを非表示/違反報告)
ろこも(プロフ) - 紅葉さん» 紅葉様!コメントありがとうございます!好きと!シンプルに一番嬉しいです励みになります…! (2020年7月7日 22時) (レス) id: ef1ad6d2c7 (このIDを非表示/違反報告)
ろこも(プロフ) - 竜胆友さん» 竜胆友様!コメントありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しい限りです!更新頑張ります…! (2020年7月7日 22時) (レス) id: ef1ad6d2c7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 好き← (2020年7月7日 15時) (レス) id: 777c44a6f7 (このIDを非表示/違反報告)
竜胆友(プロフ) - めちゃ面白です。どんどんろこもさんの世界に引き込まれていきました!続きを楽しみに待っております。 (2020年7月7日 8時) (レス) id: 3d9f00433a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ろこも | 作成日時:2020年7月6日 2時