この世界の終わりには【不死川実弥】

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一年が経った。




実弥とは一度も会うことはなかった。


もちろん会えたらうれしいけど、お別れしたときの言葉を胸に、いつかの日を思って日々精進していた。




わたしは着々と任務をこなして甲まで階級を上げていた。


最近は柱の方との合同任務につかせてもらったりもしている。




そんなある日、カナエさんと一緒に挑んだ下弦の鬼との戦いで大怪我を負った。


その鬼の血鬼術は、鬼が大切な人に見える術だった。



鬼は対峙すると自分の大切な人の姿に変わり、自分の過去の後悔を罵倒してくる。


鬼を倒すことで自責の念を掻き消していたわたしには、十分すぎるほど効力のある術だった。


カナエさんも取り乱したわたしを庇って深手を負い、なんとか応戦していたところを悲鳴嶼さんに助けられた。




その戦闘から、何かを斬ろうとすると、家族がよぎって手が震えるようになった。


相手が鬼だと頭でわかっていたけど、全然おさまらなくて。


任務でも今までなら簡単に倒せたであろう鬼に手こずり、怪我を繰り返した。




蝶屋敷で治療を受けながら、毎日考えた。


考えても、いくら気を引き締めても、失敗する。


この状況を一人で打破できる精神力もなくて、尊敬するカナエさんに相談することにした。

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