今日こそ君はぼくのもの ページ28
狭い席に長時間座っていたせいで体は痛かったが、久しぶりの日本という事で嬉しい気持ちの方が強く、移動の疲れはさほど感じなかった。
トランクを引いて歩いていると、祐樹が笑顔で駆け寄って来た。
「おかえり、A。会いたかった」
飛びつく様に私を抱きしめてくれる。
『ただいま。祐樹、また写真撮られちゃうから離れよう』
「ヤダ」
『ダメ。またネットに出回っちゃう』
「…わかった」
しぶしぶ体を離した祐樹が、不意に私にキスをした。
『もう。ダメ』
「ごめん 笑」
私の手からトランクを奪い、もう片方の手で私の腰に手を回す。
『人がいっぱいいるから、少し離れた方が良くない?』
「これくらいいいでしょ」
嬉しそうな祐樹に、私は何も言う事が出来なかった。
祐樹の車に乗った瞬間、キスをされる。
食べられちゃうんじゃないかって思うくらい、祐樹が激しく私の唇を求める。
苦しくなって祐樹の胸を叩いて抵抗すると、やっと唇を解放してくれた。
『苦しいよ、祐樹』
目が合った瞬間、祐樹が優しい顔で微笑んだ。
「ごめん、会いたくて仕方なかったから」
そう言って私を力一杯抱きしめた。
『…私も祐樹に会いたかったよ』
私の言葉を聞いた祐樹が更に手に力を込める。
「愛してるよ、A」
『私だって』
もう一度唇が重なり、祐樹が嬉しそうに笑った。
「ありがとう。時間もったいないから行こう」
ゆっくりと車を発進させた。
祐樹が運転中、ちらちらと私を見る。
『危ないよ。ちゃんと前見ないと』
「だって嬉しすぎて 笑」
『私だって嬉しいよ。でも運転気をつけてね』
「Aを隣に乗せてるんだから、大丈夫だって」
また嬉しそうに祐樹が笑う。
その姿を見て、私まで嬉しくなった。
「A、実家にいつ行くの?」
『まだ決めてない。新幹線のチケットも取ってないんだ』
「じゃぁさ、俺のオフの日にしない?」
『悪いよ、せっかくのオフなのに』
「俺は一秒でも長くAと一緒にいたいの。久しぶりにご両親に挨拶もしたいし。この前の写真の件で心配もさせちゃったしね」
『…でも』
「たまにはドライブもいいでしょ 笑」
『わかった。ありがとう』
「じゃ、決まりね」
また祐樹が笑顔になった。
日本に戻って来た安心感と、長旅の疲れが出ていつの間にか私は眠ってしまった。
車が停車した感覚で目が覚めた。
隣を見ると、祐樹が優しく私の手を握ってくれている。
その温もりが嬉しかった。
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rockin(プロフ) - ばっさーさん» ばっさーさん、ご心配かけてごめんなさい。諸事情でパスかけてます。今日中には外せると思いますので! (2012年12月20日 19時) (レス) id: 2b31870ecd (このIDを非表示/違反報告)
rockin(プロフ) - けめさん» けめさん、このお話のキーホルダーといえば… (2012年12月1日 16時) (レス) id: 13c04e3708 (このIDを非表示/違反報告)
けめ(プロフ) - 咄嗟に外した蒼いキーホルダーって、あの射的の時のキーホルダーなのでしょうか!? 実は、2人共にまだ大事に持ってるって事ですか!? 何だか……。 (2012年11月30日 23時) (レス) id: f7f419d5c3 (このIDを非表示/違反報告)
rockin(プロフ) - このページでの更新も一杯になってしまったので、あたらしいうた3を作りました。もしよろしければご覧下さい。http://uranai.nosv.org/u.php/novel/rockin6/ (2012年11月30日 22時) (レス) id: 13c04e3708 (このIDを非表示/違反報告)
rockin(プロフ) - りおさん» りおさん、ありがとうございます!凄く素敵な言葉、とても嬉しいです 笑 (2012年11月30日 22時) (レス) id: 13c04e3708 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:rockin | 作成日時:2012年11月13日 21時