ラブセレナーデ13

番外編3 麻也SIDE ページ46

翌朝、早く目が覚めてしまった俺は、ウッチーの家のリビングのソファーでメールをしたり、YouTubeを見たりしていた。



しばらくしてカチャリと開いた、寝室のドア。



『もう起きてる 笑。麻也。随分早いね』と笑ったAに、

いつも通り、ちゃんと二人で寝たんだ。と、ホっと胸を撫で下ろす。






A『朝ごはん、作るね』



Aが冷蔵庫を開けた時に見えたのは、昨日ウッチーが食べなかった夕飯。

パタンと冷蔵庫を閉めたAの後ろ姿に「昨日の夕飯の残り、どうするの？」と、聞いた。






A『私のお昼ご飯にする 笑』

振り向いて笑うA。





せっかく作ったのに食べてくれなかった物を自分で食べるのって、悲しすぎるでしょ




「それ、タッパーに詰めてもらってもいい？超美味しかったから、今日の俺の夕飯にしたい」と明るく言うとAは、一度大きく瞬きをした。



瞬きをした後、『ありがとう』と、笑った。






・






それから、2日後。


「デュッセルドルフに行く用事あるから、飯食いに行ってもいい？」とAに電話するが、『…今日はちょっとダメなんだ』と、断られた。


次の日も、断られた。




電話で話すAは、元気そうな声。

スカイプも、『今、髪の毛がグチャグチャだから、ダメ 笑』とか、『ちょっと、パソコンの調子が悪いの』とか、様々な理由をつけられ、断られた。



ウッチーに電話しても、ウッチーが電話に出ることは無かった。





Aは、電話には出た。

メッセージの返信もしてくれた。



ただ、顔は見せてくれなかった。

俺に顔を見られると、元気がない事がバレてしまうからだろう。





晴がスカイプしようとしても、ダメだった。

電話もメッセージも受けてくれるのに、顔は見せてくれないと言っていた。






麻「A、何してる？ちょっと今、近くにいるんだけど…」

A『ごめん、麻也。今ね、家にいないの。また今度来て』



電話の向こうは、元気な声。







俺は、ウッチーの家に向かった。

リビングには照明がついているから、Aはいるんだろう。


家のチャイムも鳴らさず死角に車を止め、車の中から家の様子を伺う。






22時を過ぎて、そろそろ帰ろうと車を発進させても、ウッチーの車は戻ってこなかった。

次の日もウッチーの家に向かい、22時位まで車から様子を伺った。




次の日も、その次の日も、そのまた次の日も。


俺が見ている間、ウッチーは帰ってこなかった。

作者より、今日はこっそりとおまけだけ12/22→←番外編2 麻也SIDE

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