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チカさんのアパートは暗く、オートロックも無く、小さな建物で
歩けばギシギシと、音が鳴った。
チラリとiPhoneを見るが、依然Aから連絡は無い。
グッと引っ張れば外れてしまいそうな頼りないドアノブに鍵を差しながら、チカさんが「ボロいでしょ、このアパート」と、笑った。
カチャリと開いたドアから見えたのは、狭い部屋。
部屋に足を踏み入れると、キッチンもテレビもベッドも本棚も全てその部屋に収まっていた。
狭い部屋には余計な物は無く、殺風景な空間。
チカ「狭くてビックリした?でも狭ければ暖房費もかからないし、ここ気に入ってるんだ」
部屋を見渡す俺に、チカさんがまたニカっと笑う。
チカ「深山君、そこのベッドに寝かせてあげて」
俺に寄りかかりながら既に眠っている深山さんをベッドに下ろし「チカさんはどこで寝るの?」と聞くと、「私は床で十分」と、またチカさんが笑った。
チカ「適当に座って。って言っても、狭くて座れる場所なんて限られてるけど 笑」
何気なく本棚を見るとそこにあったのは、たくさんの日本の漫画。
本棚の8割は、漫画が占めている。
篤「漫画読むの?」
チカ「大好き。漫画読んでる時間が、一番幸せ 笑」
篤「ワンピースも全巻揃ってんじゃん。これ、借りていっていい?」
チカ「私の仕事が休みの日、近所の子供達も読みに来るから貸し出しは禁止なの」
篤「なんだ。残念」
チカ「暇な時、勝手に読みに来ていいよ」
篤「チカさんの仕事が終わった頃なんて、遅い時間じゃん」
チカ「合い鍵渡しておく。勝手に読んで勝手に帰りなよ」
篤「は?」
チカ「お金持ちのウッチーには、この家から盗む物なんて何もないでしょ 笑。はい、鍵。いつでもどうぞ」
俺の掌に乗せられたのは、この部屋を守るには頼りない小さな鍵。
「寝込みは襲わないでね〜 笑」と笑うチカさんに、「襲わねーって」と、俺も笑った。
チカ「誰か大事な人が待ってるんじゃないの?さっきから携帯ばかり気にして 笑。
私ももう寝るから、ほら早く帰った帰った」
笑うチカさんに背中を押され、狭い部屋から追い出された。
掌に残されたのは、この部屋の鍵。
その鍵を、車や家の鍵がついているキーリングに通し、ポケットにしまった。
家についたのは、深夜1時。
『どこに行ってたの?』『遅かったね』とも言わず、『お帰りなさい』と笑ったAに
心がまた、モヤモヤした。
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翡翠 - こんばんは♪今日、実在する一ノ瀬薫クンに、ネタとして話しました(笑)梅干しありがとうとか、ヒロインちゃん&うっちーの家にしょっちゅうご飯食べにくるズーズーしさ等、話題になります(笑)ウケてましたよ♪ (2014年12月28日 0時) (レス) id: 90ca347dba (このIDを非表示/違反報告)
にの(プロフ) - 午前中、働いて来た私。今から、読みま〜す。わくわく (2014年12月23日 12時) (レス) id: c2e0a37395 (このIDを非表示/違反報告)
rockin(プロフ) - にのさん» にのさ〜ん!アニマル親子に気合を入れられ、新章立ち上げましたー!どうか気づいて〜 (2014年12月23日 10時) (レス) id: 7413492da2 (このIDを非表示/違反報告)
にの(プロフ) - こんばんみ、にのです。アニマル京子、うけました〜笑。。私も、夕飯にビールです。必死にキリンののどごし生を飲み、樽サーバーを欲しい私。そうよ、ビールだ、鏡月だ、日本酒だ、焼酎だ笑。そして、ラブセレナーデだ〜。 (2014年12月22日 15時) (レス) id: c2e0a37395 (このIDを非表示/違反報告)
rockin(プロフ) - ショコラさん» ショコラさんのお知らせ読みました。唯一読ませて頂いてた小説なので寂しいですが、また再開を心待ちにしていますね。ショコラさん、これからも仲良くしてください〜!新作はいつ公開出来るかな〜。どちらも頑張ります!ウッチーが赤フンに戻るのはいつかな? (2014年12月22日 15時) (レス) id: 7413492da2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:rockin | 作成日時:2014年10月25日 12時