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狸寝入りがいつの間にか本当に寝ていた様で、目を開けると部屋はすっかり闇に包まれていた。
時計を見ると、22時を少し過ぎた頃。
ベッドに寝転んだまま耳を澄ますが、リビングから話し声は聞こえない。
一ノ瀬は帰ったのかなんて思っていると寝室のドアが開き、咄嗟にまた寝たふりをした。
ベッドに近づいてきたのは間違えるはずもない、Aの気配。
風呂上がりのいい香りがした。
俺が具合でも悪いと思っているのか、Aは俺の額に手を乗せ、しばらく俺の様子を伺っている。
熱が無いと安心してベッドから静かに遠ざかろうとしたAの手を引っ張り、俺の下に無理やり組み敷いた。
一瞬驚いて俺を見上げるも、『ビックリした 笑』といつも通り笑うAに、また少し苛立ちが顔を覗かせる。
俺がいないのに他の男を家に入れて、俺がどう感じてるか、わかんない?
しかも今日は怪我をして、心に余裕が無いのも気づかない?
怪我をしている事も言ってないし、一ノ瀬に下心が無い事もわかってる。
わかってるけど。
A『ご飯食べる?』
俺に組み敷かれても動じないAにまた苛立ち、両手首の自由を奪う。
A『…篤人?』
俺に痛い程手首を握られたAの瞳に少しだけ浮かんだ、戸惑いの色。
それがまた俺を苛立たせる。
苛立つ心。
それとは反対に、無理矢理というこの状況が、頭と体を興奮させる。
A『…ま、って。篤人』
いつもとは違う俺の雰囲気に気づいたAから、笑顔が消えた。
ねぇ、A
Aは、俺のものだよね
俺のものだって、確かめさせてよ
Aの心も体も俺のものだって、俺を安心させてくれよ
この夜は初めて、Aの事よりも自分の事だけを考えて、Aを抱いた。
Aの気持ちなんて何一つ考えないで、Aは俺のものだという安心と快感を求めて、自分本位でAを抱いた。
・
目が覚めたのは、朝の5時。
ベッドの下に散乱しているAの下着とティッシュの塊が、視界の隅に入った。
俺の腕枕で眠るAの首には、深く刻んだキスマーク。
Aの両手首に赤く残るのは、俺の指の跡。
何やってんだ、俺
一番大切な人に自分勝手な欲をぶつけるなんて、最低だな
ゴメン
本当にゴメン
愛してるよ、A
…愛してるのに
後悔する心に押し潰されながら、愛するAの体を抱きしめた。
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翡翠 - こんばんは♪今日、実在する一ノ瀬薫クンに、ネタとして話しました(笑)梅干しありがとうとか、ヒロインちゃん&うっちーの家にしょっちゅうご飯食べにくるズーズーしさ等、話題になります(笑)ウケてましたよ♪ (2014年12月28日 0時) (レス) id: 90ca347dba (このIDを非表示/違反報告)
にの(プロフ) - 午前中、働いて来た私。今から、読みま〜す。わくわく (2014年12月23日 12時) (レス) id: c2e0a37395 (このIDを非表示/違反報告)
rockin(プロフ) - にのさん» にのさ〜ん!アニマル親子に気合を入れられ、新章立ち上げましたー!どうか気づいて〜 (2014年12月23日 10時) (レス) id: 7413492da2 (このIDを非表示/違反報告)
にの(プロフ) - こんばんみ、にのです。アニマル京子、うけました〜笑。。私も、夕飯にビールです。必死にキリンののどごし生を飲み、樽サーバーを欲しい私。そうよ、ビールだ、鏡月だ、日本酒だ、焼酎だ笑。そして、ラブセレナーデだ〜。 (2014年12月22日 15時) (レス) id: c2e0a37395 (このIDを非表示/違反報告)
rockin(プロフ) - ショコラさん» ショコラさんのお知らせ読みました。唯一読ませて頂いてた小説なので寂しいですが、また再開を心待ちにしていますね。ショコラさん、これからも仲良くしてください〜!新作はいつ公開出来るかな〜。どちらも頑張ります!ウッチーが赤フンに戻るのはいつかな? (2014年12月22日 15時) (レス) id: 7413492da2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:rockin | 作成日時:2014年10月25日 12時