ラブセレナーデ13

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今日の主役の翔平がいないな、なんて思っていたら、翔平が姿を現した。



翔平の後ろから歩いて来たのは、結城エリナ。


二人とも、目が赤い。

でも結城エリナの嬉しそうな表情に、二人の心が通じ合ったんだな、と思った。









エリナ「Aさーん」



笑いながら、でも泣きながら、結城エリナがAに抱きつく。

そんな結城エリナを、心から嬉しそうな顔でAは抱き返した。







・







「内田さん」


その声に振り向けば、目を真っ赤にした翔平が真っ直ぐ俺を見ていた。







篤「ん？」


翔平の目から、ポトリと涙が落ちた。







翔「……本当に、すいませんでした」




俺に、勢い良く頭を下げた翔平。

頭を下げた翔平の涙が、ポトリポトリと床に落ちていく。







そんなに幸せなんだ 笑



そんなからかいの言葉は、まだ床に落ち続けている翔平の涙を前に、喉の奥で消えた。









泣きながら、でも幸せそうにAと話す結城エリナ。

そんな結城エリナを嬉しそうに見つめるA。









篤「お前の彼女が幸せそうで、俺の彼女も嬉しそうだよ」




ゆっくりと顔を上げた翔平が涙でグチャグチャなまま、唇を強く噛み締め

そして、もう一度俺に向かって深く頭を下げた。







何をそんなに泣くんだよ 笑


見てみろよ、結城エリナの表情

スゲー幸せそうじゃん


お似合いだよ、お前達







篤「お前の誕生日祝いと恋愛成就祝いだから、麻也が奢ってくれるって。

ほら、好きなだけ飲め」






俺が翔平にかけた言葉が遠くにいた結城エリナにも届いたらしく、「吉田さん、ご馳走様です」と、結城エリナが嬉しそうに笑った。







篤「どうせなら、この高いワイン飲めば？麻也の奢りなんだし」


麻「おい、内田！お前が指差してるヤツ、シャレにならない位高いだろ」


エリナ「それ飲みたいです！」


麻「ちょっと、エリナちゃんまで！」


エリナ「Aさんの分も含めて、3杯お願いします！」


麻「Aは飲まないよね？普通のビールでいいよね？」


A『私も飲みたい 笑』


麻「ちょっと、Aまで！Aはそんな子じゃないでしょ」


A『飲みたいよね、翔平君 笑』




長い時間Aを見つめた翔平が、「…はい」と涙を浮かべながら、笑った。








A『麻也。よろしく 笑』




悪戯っぽく麻也に笑ったAと目が合い、幸せそうな顔で俺に微笑んだAに


やっぱり好きだな、なんて俺は今日も思った

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