ラブセレナーデ12

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エリナ「一人で練習見に行くなんて、翔平ズルイ」



また口を尖らせるエリナちゃんに、「たまたま近く通ったからだって 笑」と笑う彼の表情は柔らかく、

さっきのあの冷たい目は私の気のせいだったかも、なんて思った。







エリナ「翔平は車があるからいいよね」

翔「どこか行きたいなら、ちゃんと連れて行ってやるって」

エリナ「早く私も電車の乗り方を覚えないと」

翔「エリナは方向音痴だから、電車はダメ。一生、目的地に着かない」

エリナ「それ、ヒドくない？」

翔「どこでも俺が連れて行ってやるから、大丈夫だって」

エリナ「それはそれで、悪いよ」

翔「悪いなんて思ってないくせに」

エリナ「バレた？笑」






翔平君がエリナちゃんに抱く感情は、ただの幼馴染なんかじゃないって、わかる。

エリナちゃんを見る翔平君の目は柔らかくて、優しくて。



翔平君はずっとエリナちゃんを守ってきたんだな、と感じた。







翔「Aさんと内田さんて、どういう経緯で付き合う事になったんですか？」


突然の翔平君の質問に、咳き込んでしまった。







『…秘密 笑』

翔「この前のパーティーの時、吉田さんと仲よさそうに話してましたね」

『麻也は、幼馴染なの 笑』

翔「じゃぁ、吉田さんの紹介？」

『紹介っていう訳じゃ無いけど…』

翔「…へぇ」



翔平君がゆっくりと瞬きをした時、エリナちゃんが「このパスタ美味しい！Aさん、こっちも食べて下さい」と話題を変えてくれ、心の中でホッと息をついた。





・






翔平君に再び会ったのは、篤人がアウェーでの試合の日。




お酒を飲みながらシャルケを応援したい！

久しぶりに鍋が食べたい〜！


と言ったエリナちゃんと一緒に、翔平君もうちに来た。






翔「キレイにしてますね」


翔平君が、リビングをグルリと見渡す。







『ありがとう 笑』

エリナ「女子会だからダメって言ったのに、今日も勝手についてきて」

翔「エリナ、一人じゃ来れないじゃん」

エリナ「…そうだけど」



また口を尖らせたエリナちゃんが、「いい匂いする〜」と、目を輝かせた。






『豆乳鍋にしたんだけど、いい？』

エリナ「やったー！女子力高いー！」






エリナちゃんは、本当に楽しくて、可愛い子で。

翔平君のエリナちゃんを見る目は、柔らかくて温かい。




そんな二人と過ごした時間は、本当に楽しい時間だった。









3人で応援したその日のシャルケの試合は、0-1でシャルケが敗れた。

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