ラブセレナーデ12

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視線を感じ顔を向けると、麻也と話している男がこっちを見ていた。
その男が見ているのは俺じゃなく、その子。



彼氏かな、なんて思いながらチラリとAを見るが、スイと楽しそうに話しているAは、俺の事なんて一切見ていない。

それどころか、Aに知らない男が近づいてきた。







おい、そこの男

お前の目、厭らしくないか？


もしかして、Aを狙ってるのか？

そんな事、絶対に許さない


A。そんな男から早く離れろ！

男の頭の中は、いつでもあんな事やそんな事でいっぱいなんだぞ！






モヤモヤと気持ちが曇り始めた、その時。


エリナ「う、内田さん。つ、付き合ってください」



突然の告白に、俺は目を丸くした。

その子は自分の発言に驚いたのか、俺よりも更に目を丸くしている。








篤「え？」

「ええーーっ？今私、何て言いました？」

篤「…付き合って…って」


「ギャー！違うんです！じゃなくてえーっと、彼女はいますか？じゃなくて、私は内田さんに凄く憧れてて、会えて嬉しくて、舞い上がっちゃって、何を言いたいかといえば…

好きな食べ物は何ですか？」



支離滅裂な言葉の連続に笑いながら俺は、「彼女は…います。好きな食べ物は、日本食」と答えた。


その子は「で、ですよね〜。内田さんくらい素敵な人なら、彼女の一人や二人、いますよね」と笑い、



篤「彼女は、一人です」

「良かった〜。内田さんが軽い人じゃなくて良かった〜」


とまた笑い、彼女は何度も俺に頭を下げがなら彼氏の所に戻っていった。





何気なくその彼氏に目を向けると、そいつはその子に優しく笑いかけた後

静かに、Aを見た。


感情の無い目で、Aをただ見つめていた。



なんとなく気になったが、まだあの男に捕まっているAの姿にそんなことはすぐ忘れた。






待ってろ、A

今、助けに行くから




鼻息荒くAの元に向かい、「A、酔ってない？」と、華奢な腕を掴んだ。





A「酔ってない 笑」

「嘘ばっか。顔、赤い」

A「嬉しい日だから、シャンパンたくさん飲んじゃった 笑」




笑うA。

俺の姿にポカンと口を開ける男。


その男が口を開く前に「この子、僕のなんで」と言い、Aの手を引いてその場を離れた。






A

俺以外の男に、隙を見せたらダメだろ

今夜は、時間をたっぷり掛けてお仕置きだな




そう考えていた俺の顔は、きっとどうしようも無い程ニヤけてるだろう

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