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「夏のオフに、静岡においでよ。楓も莉子も、会いたがっている」
蒼さんが柔らかく、笑った。
『はい 笑』
「秘蔵のあっちゃん写真、見せてあげる」
『楽しみにしてます 笑』
蒼さんは練習中の篤人を見たまま、優しく言葉を紡ぐ。
「あっちゃんは小学生の頃から、モテモテだった」
「小4の頃かな。あっちゃんは、クラス中の女子からバレンタインチョコを貰ってた 笑」
「あっちゃんね、小学生の時に野球チームにも入ってたんだよ。でも野球の打順を待つ時間が長くて退屈で、すぐ野球は辞めてた 笑」
「高校生の頃は、サッカー部の主将でね。高校生活最後の試合に負けた時は、あっちゃん立ち上がれない程泣いて、大変だった 笑」
蒼さんの紡ぐ言葉は優しく、温かく
私の知らない篤人の歴史が、蒼さんの優しい声で彩られていく。
まるで目の前にその時間が見えるように、鮮やかに彩られていく。
それは心地よくて、柔らかくて、温かい時間だった。
・
「そういえば、麻也君がいないね」
蒼さんの言葉で麻也がいない事に気づき、周りを見渡すと少し遠くに麻也の姿を見つけた。
麻也は日本人らしき男の人二人と話していて、何気なくその様子を見ていると一人の男の人と目が合い、その人が私達に向かって大きく手を振った。
誰かはわからなかったが、会釈を返す。
するとその人はピョンピョンと跳ね更に大きく手を振り、麻也がその人の動きを慌てて止め、それでもこちらに向かって陽気に手を振り続けるその男の人の姿に、蒼さんと笑った。
そのまま麻也はその男の人とずっと話していて、私達の所に戻って来たのは、篤人の練習が終わった頃だった。
・
「ミチ君、来てたよ」
練習後カフェで合流した篤人が、麻也の言葉に「うるさかったから、気づいた」と、溜め息混じりにコーヒーを一口飲んだ。
ミチ君って誰だろうと思っていると、そんな私に気づいた麻也が
「少し前に、オランダのチームに所属してたサッカー選手。今はJリーグで活躍してるけど」
と、教えてくれた。
『もしかして私、会った事あるの?』
「一回だけね。でもミチ君に関しては忘れたままでいいよ。面倒くさいから 笑」
『あはは』
篤人はミチという人に全く興味を持たず、私と麻也の会話に入る事もなく、蒼さんと全然違う話を楽しそうにしていて。
蒼さんと話す篤人の表情は、優しく、温かく。
私の見える世界は、今日もキラキラと輝いている
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rockin(プロフ) - 大野担なマヤニスタ。さん» 大野担なマヤニスタ。さん。大野さんファン、多いな。さすがリーダー。私は『魔王』の成瀬さんにメロメロです 笑。翔平は本当は違う漢字だったのですが、嵐が好き過ぎて…。翔平のキャラに、今は翔君の漢字を使った事に後悔しています…。冷たい翔君の目も好き☆ (2014年10月25日 14時) (レス) id: dc0e1ffc32 (このIDを非表示/違反報告)
rockin(プロフ) - めいさん» めいさん。料理が得意なのはいい事です。まずは、男の胃袋を掴め!と言いますからね。今日から新しい章に移ります。どうかお付き合い下さい! (2014年10月25日 14時) (レス) id: dc0e1ffc32 (このIDを非表示/違反報告)
rockin(プロフ) - mochipandaさん» mochipandaさんの関西弁、可愛過ぎて悶えます。私が男なら、告白してるなきっと。今日から新しい章に移ります。どうかお付き合い下さい! (2014年10月25日 14時) (レス) id: dc0e1ffc32 (このIDを非表示/違反報告)
さとちゃんぽ(プロフ) - rockinさん、こんばんみ(*≧∀≦*)ちょっと、ウッチー!翔平のあの無表情、すぐに忘れちゃダメ!!主人公ちゃんは、疑う気持ちゼロなんだからあ!もう、これらの展開にドキマキしちゃいますぅ(°Д°) (2014年10月24日 23時) (レス) id: f30672dd4c (このIDを非表示/違反報告)
大野担なマヤニスタ。 - ひゃあすみません!文法おかしいですね(;_;) 翔平くんがなぜか櫻井翔くんに脳内変換されます 笑 冷たい目の櫻井くんが思い浮かびます....笑 (2014年10月24日 22時) (レス) id: 0a63f5263a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:rockin | 作成日時:2014年9月2日 9時