アップルソング2

優しい愛の唄が聞こえる ページ9

「今日は、Aと美咲を朝まで借ります。両旦那さん、宜しく」




明日香の一言で、美咲と私も一緒にホテルに泊まる事が決まった。
ホテルのロビーでも、明日香は相変わらずで。


「真司。部屋を変えてって言って」
「俺より、Aの方がドイツ語ペラペラやろ」
「いいから、早く」




酔っぱらった明日香の勢いに負け、真司がホテルの受付の人に声を掛けた。

「…プリーズ、チェンジルーム。スリー…」





真司の英語に、首を傾げるホテルマン。
そんな姿に苦笑いした川島さんが、流暢な英語で話しかけて。


その姿に「永嗣君、カッコいい！」と、美咲が幸せそうに笑った。








ホテルの部屋に入るとすぐに、ルームサービスが運ばれて来た。
ワインとシャンパン、それにチーズとソーセージ。




「これは？」
「ミスター、カワシマからです」
「ありがとう」


パタンとホテルのドアが閉まれば「Aのドイツ語、カッコいい」と、美咲が笑って。

『川島さんからの差し入れだって』と教えると、「さすが永嗣君。私達の事、よくわかってる」と、また美咲が幸せそうに笑った。





『美咲、凄く幸せそう』
「うん。生きてきた中で、一番幸せ 笑」
「二人とも幸せそうで、羨ましい」
『明日香だって、仕事が楽しそうだけど』
「楽しすぎて困る。今は男よりも、仕事だね」
『明日香らしい 笑』
「さ、じゃんじゃん飲むぞ。このホテルの支払いは、全部真司だしね」
『賛成 笑』



それから3人で、たわいもない話をしながら飲んだ。
シャンパンもワインも空になって。

たくさん話して、たくさん笑って。



気がつけば、一つのベッドで3人で並んで眠っていた。









明日香は次の日の夕方の飛行機で。
美咲は、お昼過ぎに。

それぞれ、日本とベルギーに帰っていった。









『ただいま』
「…お帰り」


家に帰ると、篤人はいつもの場所でパソコンを見ていて。
目が合うと、フッと笑った。





「楽しかった？」
『たくさん喋って、たくさん笑った 笑』
「そ。よかったね」
『うん 笑』
「今日は、早く寝るよ」
『…うん』
「わかってると思うけど。今日こそは、ね」
『……うん』
「いい子」


私を見る篤人の視線に、胸がドクンと鳴った。









「A、おいで」


お風呂からあがった私の手を掴み、真っ暗な寝室に私を連れて入る篤人。
篤人から感じるのは、深い愛情と強い欲望。





これから始まるのは、二人の優しい時間。



寝室のドアが、静かに閉まった。

作者より 1/28　必ず最後まで読んで下さい〜→←愛と笑いの夜

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