アップルソング2

東京の空は今日も晴れていて ページ43

「またいるんか、明日香」


スカイプの画面に映るのは、真司。
真司の言葉に「別にいいでしょ。真司に迷惑かけてる訳じゃないし」と、明日香が答える。






「ええか、明日香。ウッチーとAは、新婚さんなんやで。あんな事やそんな事、毎晩したい盛りやろ」
「真司、キモい」
「キモいとか言うなや、明日香」
「この家、居心地がいいんだよね。いつも片付いてるし、Aのご飯は美味しいし」
「明日香の家は、メチャメチャ汚そうやな」
「手を伸ばせば、そこに必要な物がある。効率的でしょ？」
「ただ、片付けないだけやろ」
「私がその気になれば、片付けくらい…」
「その気になるのって、どんな時なん？」
「…引っ越しの時？」
「お前は一生独身やな。確信した」
「真司だって、一生独身だね。どうせ家には、金髪美女のヌード写真やハレンチなDVDで溢れてるんでしょ？」
「…」
「図星か 笑」
「うっさいわ、明日香。健康的な若者の証拠やろ」
「真司に金髪美女は、絶対に無理だと思う」
「見てろよ。そのうち、金髪美女のボインちゃんを連れて帰国したったるわ」
「はいはい。楽しみにしてます」
「はいはいって、お前。はいは一回って、学校で教わったやろ」
「はいはいはい」
「また増えた！」



そんな二人の会話に、お腹を抱え笑った。







篤人は毎日朝から夜までリハビリ施設で過ごし、明日香は3日に1度は泊まりに来て。
祐樹と葵ちゃんも、3日に1度位夜ご飯を食べに来ていた。



「…ハンバーグのタマネギ切ったの、葵だろ。全然みじん切りじゃない」
「うるさいな、大津」
『これはこれで、いい食感だと思うよ』
「ほら、大津。A先輩だってそう言ってる」
「…Aがそう言うなら、別にいいけど」
「ほら。A先輩は、私の味方なんだからね」




充実した日々。
篤人は「…ドイツにいるよりも、賑やかだな」と、毎日苦笑いしていた。









「明後日、日本に帰るわ」

スカイプの画面に映ったのは、何故か茶髪になっている真司。




「何それ、真司。似合わない」
「そんな事ないやろ、明日香。俺的には結構気に入ってるんやけど」
「売れないホストみたい。それか、冴えない浪人生」
「バカ言え、格好ええやろ。なー、A。そう思わん？」
『…真司は、黒髪の方が似合うと思う』
「…」







2日後。
ニュースが、帰国した真司達を映し出した。
真剣な顔で、インタビューに答える真司。



真司が黒髪に戻っていた事に、明日香と顔を見合わせ笑った。

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