アップルソング2

温かい気持ち ページ38

カーテンから差し込む光で、目が覚めた。


隣でスヤスヤと眠る篤人。
体に残るのは、心地いい疲れ。

帰国して、2度目の朝。
外は、快晴だった。








祐樹から電話が来たのは、夕方に差し掛かろうとしていた時。



「もしもーし」

電話越しに聞こえる明るい声に、自然と頬は緩む。



「今、家？」
『そう』
「夕飯の買い物、今から？」
『うん』
「迎えに行くから、一緒に行こう」
『今日も食べて行くの？』
「そのつもり。あと10分でマンションにつくから」
『わかった 笑』






祐樹が到着したのは、電話を切ってから5分後。
マンションの外で私を待っていたのは、笑顔の祐樹と葵ちゃんだった。



「お久しぶりです、A先輩」
ペコリと頭を下げる葵ちゃん。



『久しぶり、葵ちゃん』
「ご結婚、おめでとうございます」
『ありがとう 笑』
「大津が、いつもお世話になっています。…あれ？何か違う気がする」


そんな葵ちゃんを見て、「お前は俺の保護者か」と祐樹が笑う。





「A、葵に料理教えてやって。全然作れないから」
「作ったじゃん。お味噌汁とおにぎり」
「超しょっぱい味噌汁と、味のしないおにぎりな」
「頑張ったんだけど」
「おにぎりの具に、胡瓜の漬け物を入れるヤツがいるか 笑」
「だって、それしかなかったんだもん。仕方無いでしょ」
「仕方無いとか、そういう問題じゃないから 笑」



楽しそうな祐樹。
そんな祐樹に反抗する葵ちゃんは、とても幸せそうで。

そんな二人を、笑いながら私は眺めていた。







3人で近所のスーパーに行く。

明日の朝のジュースは、キウイにしよう。
野菜をいっぱい食べれる様に、温野菜にしようかな。
あ、このトマト美味しそう。


そんな事を考えながらカゴに食材を入れていると祐樹のiPhoneが鳴り、私たちから離れて行った。
祐樹が押していたカートを、代わりに葵ちゃんが押してくれる。




『ありがとう、葵ちゃん』
「A先輩、食材選ぶの慣れてますね」
『一人暮らしも長かったから 笑』
「私、全然料理した事なくて…」
『これからすればいいよ』
「あの、A先輩」
『ん？』
「唐揚げの作り方教えて下さい。私には難しいかもしれませんが、大津の大好物なので…」

そう言った葵ちゃんの頬は、真っ赤で。






『わかった。今夜のメイン、決まったね』
「ありがとうございます、頑張ります！」


凄い勢いで頭を下げる葵ちゃん。
そんな姿に、祐樹の恋人が葵ちゃんで良かったと 心からそう思った。

晴れの日の恋人達のための組曲→←月が綺麗だから

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す