アップルソング2

今日の太陽　いつも同じ気分 ページ12

次の日の夕方。
けたたましく鳴るブザーに玄関を開けると、転がり込むように祐樹が入って来た。



「また、Aの写真がネットに流れた」
『うん。明日香に聞いた』
「見た？」
『はっきり映ってたね』
「あれ？随分、冷静だね」
『悪気があってやった事じゃないから。もう、仕方無い 笑』









明日香からその連絡が来たのは、つい1時間程前。



「この前の真司が用意した結婚式の写真が、Facebookに載ったらしい」
『教会で挙げた結婚式の？』
「そう。この時のドイツ人のヘアメイクさんが、自分のFacebookにウッチーとAの結婚式の写真を載せちゃった。”シャルケのウシダ、おめでとう”って」
『…そっか』
「悪意は全く感じないけど。それにしてもこの人、ウッチーが日本でどれだけ人気があるか、知らないのかな」
『篤人の事は、元々知らなかったみたい。真司の事は知ってたけど』
「結構ハッキリ写ってた。後で画像送る」
『ありがとう』


明日香が送ってくれた画像は、タキシード姿の篤人とウェディングドレス姿の私。
”Happy Wedding Ushida"とその画像に悪気無く描かれた文字に、ただ笑うしかなかった。









「大津、うるさい」
「わっ。内田先輩、いたんだ」
「ここ、俺の家だから」
「内田先輩が留守だったら、俺が全力でAを守ろうと思ったのに 笑」
「大津、帰って」
「嫌です。せっかく来たので、夕飯は食って帰ります！」
「迷惑」
「Aを独り占めにはさせません！」
「Aは、俺のだから」
「今はバツイチも珍しく無い時代ですからね 笑。いつチャンスが来るか、わかりませんよ」
「…大津、出入り禁止」
「それ、却下で」




結局その30分後、麻也と真司もこの家に来ていた。







「…A。めっちゃ言いにくいんやけど…」
『何？』
「……Aとウッチーのハメ撮り写真も、流出してるみたいなんやけど」
『真司、何言ってるの？』
「いや、二人の趣味に口出しするつもりは無いんやで。でも、幼馴染みとしては色々と複雑で…」


真司の言っている事を全く理解出来ずにいると「真司、その画像見せて」と、篤人がソファーから起き上がった。






「…これなんやけど」

真司が差し出した画像に、「どう見ても合成でしょ。俺達にそんな趣味なんか無いし、Aがこんなに胸が大きい訳ないでしょ」と顔色も変えずに篤人が言い放つ。






「そうやな。A、ペチャパイやもんな」と納得した真司に、私はなんだか複雑な気持ちになった。

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