アップルソング

嘘も本当も夢も現実も　僕らはただ今日を生きる ページ38

「あ。また、邪魔者が来た 笑」



笑った祐樹の目線の先には、篤人がこちらに向かって歩いて来る姿があって。
ソファーに並んで座っている私達に気づいた篤人が、少し笑った。






「大津。また人の奥さんにちょっかい出してるの？」
「俺らの深い愛を、確かめ合っていたんです 笑」
「大津。もう、絶対に家に来るな」
「絶対に行きます！」
「大津、知ってる？」
「何がですか？」
「俺とA。もう、夫婦なんだけど」


悪戯っぽく笑った篤人が私の腕を掴み、私をソファーから立たせて。
私と篤人の左手を見つめた祐樹が「内田先輩、またヤキモチ妬いてる」と、また太陽の様に笑った。








「俺はお手洗いに行くので、お二人でごゆっくりどうぞ。内田夫妻」


笑いながらお手洗いに行った祐樹の背中を見て篤人が小さく笑い、ソファーに二人で並んで座った。







「…疲れた？」
『全然。なんか、夢みたいな時間だった』
「そ」
『本当にありがとう、篤人。幸せな一日だった』
「まだ今日は終わってないでしょ 笑」
『そうだけど。大好きな人達に囲まれて、篤人と結婚出来て。そして、結婚式まで挙げる事が出来て。幸せすぎて、どうしていいかわからない』
「まだまだこれからでしょ、俺達」
『うん 笑』
「…改めて宜しく。内田Aさん」



そう言った篤人が、そっと私の手を握って。
篤人と私の左手に当たり前の様に存在するのは、二人が夫婦になった証。








”今日は、ホテルに泊まるからね。新婚初夜だしね”


そう囁いた篤人は、ニヤリと笑った。









「ちょっとー！そこの新婚。戻って来るの、遅ーい！！」


席に戻ると、美咲の顔はすでに赤くて。




『美咲、酔っぱらってる？』
「酔っぱらって無いもーん」
『酔っぱらってるよ 笑』
「大好きな親友の結婚。これほど、嬉しい事は無い！ねー、明日香」
「美咲の言う通り。この二人には、何度ヤキモキしたか」
「高校の頃からずっとね 笑。ウッチーは何度もAを泣かせたし」
「本当に。だからAを不幸にしたら、絶対に私達が許さない！」
「そうだそうだー。ウッチーのバカー」
「一番高いワイン飲ませろー」
「一番高いシャンパンもー」
「フルーツ盛り合わせも食べさせろー」
「Aもウッチーに一番高いお酒を頼んで、一緒に飲もう！」



酔っぱらった明日香と美咲は手が付けられなくて。
そんな二人に苦笑いした篤人が「アイツらの言っているもの、全部出して下さい」と、ウェイターさんに頼んだ。

いつでもこんな風に素敵な→←季節が燃え星になって記憶を全部闇が包む

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