intro ページ32
「何してんの?早く」
再び篤人に背中を押されるが頭が真っ白で、ただその場に立ち尽くしていた。
「Aー!早く」
笑顔の美咲が、私の元に駆け寄って来る。
『美咲、意味がわからない』
「いいから、早くおいで 笑」
『…うん』
「ウッチー。楽しみにしててね」
「…うちの奥さんを、宜しく」
「うちの奥さんだってー。新鮮 笑」
篤人と美咲の会話をぼーっと聞いていると「もう 笑。早く行くよ、花嫁さん」と美咲が笑いながら、私の手を引いて歩いた。
「ここ座って。今メイクさん来るから」
『明日香、なんでここに?仕事は?』
「どっかの誰かさんに頼まれて、今日は休み」
『どっかの誰かさん?』
「ウッチーに決まってるでしょ 笑」
私の肌を触った明日香が、「うん。エステの効果が出てる」と満足そうに言う。
「言っておくけど、あのエステは無料券なんかじゃないからね」
『…え?』
「ウッチーに言われて、私は手配しただけ」
『篤人に?』
「そう。ウッチーから電話が来てね。結婚式するから、ちょっと手伝ってって。でね、花嫁さんは普通ブライダルエステとかに行くんだよってちょっとけしかけたら、全部任せるからAにいい風にしてあげてって。何故か美咲も便乗したけどね 笑。いい旦那さんだね、ウッチーって」
『…明日香』
「泣くな。これからうんと可愛くならないといけないんだから 笑」
溢れた涙を、明日香が笑いながら拭ってくれた。
「やっぱ、似合う。白無垢にして良かった」
ヘアメイクもしてもらい着物に着替えた私を見て、明日香が腕組みをして満足そうに頷く。
「角隠しか迷ったんだけど。Aはこっちかな」
明日香が真っ白の大きなダリアの花を私の髪に飾り、優しく笑った。
「A。綺麗…」
『ありがとう、美咲」
「ますます惚れるね、ウッチー 笑」
その時部屋のドアがバンと開き「終わった?」と、正装した祐樹が入って来た。
「…A。超綺麗」
『ありがとう、祐樹』
「内田先輩に見せるのがもったいない 笑」
「大津。お前、ウッチーよりも早く花嫁の姿を見んなや」
「真司君だって、勝手に入って来てるでしょ」
「俺は、ええんやて」
「俺もいいんです!」
「ほら。真司も大津君も行くよ。もう新郎来るから」
「はーい」
部屋から出て行こうとした祐樹が足を止め、静かに私の所に歩いて来る。
「おめでとう、内田Aさん。本当に綺麗だよ」
祐樹が私の頬を優しく撫で、微笑んだ。
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rockin(プロフ) - まさやんさん» まさやんさん、私の作品を読んでくださりありがとうございます。麻也は縁の下の力持ちですからね。このお話も麻也がいなければ成り立ちません 笑。これからもお付き合いよろしくお願いします! (2017年2月7日 17時) (レス) id: 270d8a3f94 (このIDを非表示/違反報告)
まさやん(プロフ) - いつも一気に読んでしまいます(笑)rockinさんの小説に出てくる麻也がよすぎてファンになりそうです(笑) (2017年2月7日 15時) (レス) id: 4ee9324f72 (このIDを非表示/違反報告)
rockin(プロフ) - kikoさん» kikoさん、ありがとうございます。私の作品一覧です。まだ連載している作品もあるので、よろしくお願いします。http://uranai.nosv.org/personal.php?t=rockin (2014年12月30日 12時) (レス) id: 2c77959677 (このIDを非表示/違反報告)
kiko - どうも! 凄く面白い作品ですね このシリーズ?以外にも 小説って だしてます? (2014年12月30日 11時) (レス) id: 1cfaf9f229 (このIDを非表示/違反報告)
rockin(プロフ) - leiraさん» leiraさん、ありがとうございます。コメント、とても嬉しいです!なのに、なかなか更新出来ず…。頑張るぞ!。50話全て埋まってしまったので『アップルソング2』を作りました。引き続きお付き合いよろしくお願いします! (2014年1月24日 14時) (レス) id: f00963a277 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:rockin | 作成日時:2013年12月9日 11時